昭和37年秋、戦後の大宰相、吉田茂の隠居宅に秘書がやってきて言った。
「沖縄戦の慰霊碑を建立するので碑銘を揮毫(きごう)してほしいと、沖縄の団体から要請がありました」
吉田は快諾し、紙と筆を準備させたが、1枚書いて首をひねり、クシャリと丸めた。2枚目もクシャリ、3枚目もクシャリ…、4枚目も丸めようとしたのを、サッと秘書が取り上げた。
昭和37年秋、戦後の大宰相、吉田茂の隠居宅に秘書がやってきて言った。
「沖縄戦の慰霊碑を建立するので碑銘を揮毫(きごう)してほしいと、沖縄の団体から要請がありました」
吉田は快諾し、紙と筆を準備させたが、1枚書いて首をひねり、クシャリと丸めた。2枚目もクシャリ、3枚目もクシャリ…、4枚目も丸めようとしたのを、サッと秘書が取り上げた。