米ハーバード大教授のマイケル・サンデルが注目され、著書『これからの「正義」の話をしよう』が流行し、10年以上がたった。
この間、アメリカを中心に民主主義などのあり方についてさまざまな議論が交わされた。ただ、いずれも細々とした問題をとりあげるばかりで、新たな姿を構想する力には乏しい。そうこうしているうちに、米国では好調だった金融相場が、ロシアによるウクライナ侵攻や、連邦公開市場委員会による引き締めを機に閉塞(へいそく)状況に入っている。
米国に代表される民主主義・資本主義社会は、自己刷新する機能を失っているのではないか。欧州では新たな世界観を切り拓(ひら)く試みが長い間行われているが、決め手に欠いている。