参政党に躍進の兆し 〝既存〟にNO 維新と3位争い 参院選宮城選挙区

参院選宮城選挙区に出馬した候補者の演説に耳を傾ける聴衆=2日、仙台市青葉区(奥原慎平撮影)
参院選宮城選挙区に出馬した候補者の演説に耳を傾ける聴衆=2日、仙台市青葉区(奥原慎平撮影)

10日投開票の参院選宮城選挙区(改選数1)は自民党現職と立憲民主党新人が事実上の一騎打ちを展開する中、日本維新の会と政治団体「参政党」の両新人も比例票の上積みも念頭に精力的に動く。維新は党幹部を大票田の仙台市に投入し、参政はボランティアが〝手弁当〟で選挙戦を支える。参政は国政に議席を有しない政治団体でメディアが報じる機会は少ないが、各地で黒山の人だかりができ、既存政党への不満の受け皿になりつつある。(奥原慎平)

「なぜ、自民が先送りしたのか、答えは簡単だ。参院選は大勝できると高をくくったわけだ。野党と与党が肉薄して緊張感のある政治構造だったら、こんな改革はすぐに進む」

1日、仙台市の繁華街。維新の藤田文武幹事長はこう声を張った。批判の矛先は文書通信交通滞在費(文通費、現・調査研究広報滞在費)の見直しを巡る自民の態度だ。

国会議員に月額100万円支給される文通費は、使用した分の領収書の公開や未使用分の返還は義務付けられていない。こうした民間感覚では考えにくい慣習に対し、維新は先の国会で使途公開などを実現する法改正を求めたが、自民が国会最終盤、参院選後に協議を先送りする方針を提示した。

一方、「議員特権」に切り込もうとする藤田氏の訴えに足を止める通行人は多くはない。大阪を地盤とする維新は宮城をはじめ東北6県の支持基盤は弱い。宮城選挙区で東北唯一の候補者を立てたが、自民現職や立民新人に大きく引き離される。

それでも公示日の前後で松井一郎代表や馬場伸幸共同代表ら党幹部が来援し、今後も遠藤敬国対委員長や足立康史国会議員団政調会長ら〝大物弁士〟も仙台に駆けつけるという。

宮城を重視する目的は比例票の掘り起こしとみられる。全国では野党第1党の立民を上回る比例票の獲得を掲げ、東北では昨年10月の衆院選で得た比例票26万票以上を目指す。その先に見据えるのが来年の地方選だ。

藤田氏は記者団に、「大号令をかけているのが地方組織の強化だ。われわれは選挙を通じて強くなっていく。(来年の統一地方選で)可能な限り、可能性がある選挙区に候補を擁立したい」と述べ、厳しい戦況の中、出馬を決意した新人に対し、「維新ここにありと示すことができた」と謝意を示した。

平成24年に結党された維新は既存政党への批判層を取り込み、第三極を標榜し党勢を拡大したが、その県連幹部が「脅威」とみなすのが参政党の動向だ。

「公教育が全部悪いとは言わない。日本人は言われたことをしっかりやれても、イレギュラーな事態が発生した際、機転が利かない。子供に限らず、大人ももっと勉強すべきだろう」

2日、仙台市の繁華街。マイクを握った参政新人は文部科学省の学習指導要領だけを頼るのではなく、民間が運営する「フリースクール」や「ホームスクール」(家庭学習)など教育機会の幅広い確保を訴えた。

演説は30分近くに及び、農薬や食品添加物への規制の強化から、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の山間部での乱開発にも警鐘を鳴らす。

政党への批判はなく、目指す国家像を淡々と語る新人の訴えに党のイメージカラーのオレンジのTシャツをまとった支援者以外に学生服姿の若者や買い物バックを抱えた通行人も足を止める。休日だったが、同時刻に同じ場所で演説した維新の藤田氏よりも聴衆の数ははるかに多かった。

演説会場の運営はボランティアが担っている。新人が気仙沼市や角田市に遠征する際も同行し、ガソリン代なども自腹を切る。

元自民党員という陣営の幹部は「素人集団でも戦い抜いて、人事を尽くして天命を待ちたい」と語り、新人は「国民が今の政治についてこのままでいいのか、疑問に思っている。日に日に『応援してます』といわれる頻度は増えている」と手応えを口にする。

参政は〝初陣〟となる今参院選で45の選挙区すべてに候補者を立てた。重点政策に「教育」「食と健康」「国防」の3分野をかかげ、党員も日に日に増え、7万5000人(2日時点)に上っている。

同選挙区はNHK党新人も独自の戦いを展開する。

参院選2022 宮城選挙区の候補者一覧

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