中国、戦争外の軍事行動規定 グレーゾーンに警戒も

中国の習近平国家主席=1日、香港(AP)
中国の習近平国家主席=1日、香港(AP)

【北京=三塚聖平】中国の習近平政権が戦争以外の軍隊の行動に関する規定を6月に施行した。突発的事態への対処などの軍の活動に法的なよりどころを与えるのが目的だが、具体的な狙いは明らかにされていない。台湾海峡や南シナ海などを念頭に、戦争には至らない「グレーゾーン」の段階での軍隊の役割を明確化する思惑もうかがえ、周辺国が警戒を高める可能性がある。

規定は「軍隊非戦争軍事行動要綱」。中国軍トップの中央軍事委員会主席を兼ねる習国家主席の署名を経て6月15日に施行された。全6章59条で構成されているというが、中国メディアは全文を報じていない。

主な目的として、突発的事態の対応▽人民の生命や財産の保護▽国家の主権、安全、発展の利益の擁護▽世界平和と地域の安定の擁護-を挙げ、「非戦争軍事行動」に法的な根拠を与えるものだとしている。

非戦争軍事行動は戦争ではない状況での軍隊の行動を指し、1990年代に米軍が示した概念とされる。具体的には、対テロや治安維持、海上治安活動、国際的な平和維持活動、災害救助などがある。中国国防省の譚克非(たん・こくひ)報道官は6月30日の記者会見で「新時代の軍隊の使命、任務を有効に履行するのに重要な意義がある」と強調した。

ただ、中国側が規定の具体的な狙いをはっきりと説明していないことが論議を呼んでいる。台湾メディアは規定について、中国軍が台湾統一に向けて「グレーゾーンの行動を遂行するための隠れみの」とする可能性があるとして警戒を強めている。

中国側の過去の発言を見ると、自国の海洋権益を守るために活用することを想定している可能性もある。中国空軍出身の軍事理論家、喬良(きょう・りょう)氏は2018年12月に「非戦争軍事行動は南シナ海問題で最も実行可能で最も良い対応方法だ」との考えを共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)で表明。喬氏は南シナ海でのグレーゾーンの対応として、中国が領海と主張する海域に入った船舶への抗議などだけでなく、「発砲や流血」が起きつつも戦争には至らない「制御可能な非戦争軍事行動」があるとの考えを示している。

会員限定記事会員サービス詳細