参院選〝首都決戦〟

(1)ダブル当選目指す自民と立民 それぞれの危機感

参院選立候補者の街頭演説を聞く有権者ら=東京都内(三尾郁恵撮影)
参院選立候補者の街頭演説を聞く有権者ら=東京都内(三尾郁恵撮影)

参院選の投開票まで1週間を切った。改選数6に34人が立候補した激戦の東京選挙区。舌戦の裏で党や候補者が巡らせる「戦略」を読み解く。

鼎の軽重問われる都連会長

「票を分けようと考えていただかなくていい。調整は私と(自民都連)幹事長がちゃんとやります。心配しないでください」

公示まで1週間を切った6月16日夜。東京都港区内のホテルで催された自民現職、朝日健太郎氏の総決起大会で、都連会長の萩生田光一経済産業相は、約1千人の支援者を前にこう訴えた。

自民は参院選で定数5だった平成25年を含め、28年、令和元年と3回連続で2人を当選させてきた。今回も朝日氏と新人の生稲晃子氏でダブル当選を狙う。党関係者は「昨冬に都連会長に就いた萩生田氏にとって試金石だ。1人でも落とせば鼎(かなえ)の軽重が問われる」と話す。令和6年の都知事選、7年の都議選に向け、取りこぼしは許されない。

票割りを徹底

朝日氏は菅義偉前首相を慕う菅グループの一員だ。公示前を含め菅氏が応援に入り、昨年の東京五輪で助言を求めたエピソードなどを交え、実績をアピールする。一方、生稲氏は3期18年議席を守った中川雅治氏の後継と位置づけられ、中川氏が所属した安倍派(清和政策研究会)から安倍晋三元首相を筆頭に、派を挙げた支援を受ける。

都連は今回、幹事長の高島直樹氏を除いた都議32人のうち19人を朝日氏、13人を生稲氏支援に割り振り、組織をフル稼働させる。

「社長の所は朝日さんですよ。頼むから生稲さんって言わないでくださいね」

都内の男性経営者は、都連幹部から複数回、こんな電話を受けたという。「自分の所にまで何度も念押しするなんて、今回は本当に票割りを徹底しているよ」

蓮舫氏「1位じゃないんだ…」

今回も1位当選を目指すのか-。6月22日、港区で記者団からこう問われた立民現職の蓮舫氏は「定番の答えはしませんよ。頑張ります」と笑顔でかわした。

平成22年、28年はともにトップ当選。党勢は伸びを欠くが、「彼女は党ではなく『蓮舫』として票を持っている」(立民国会議員)とされるように、高い知名度を武器に優位に立つ。

それでも今回、党調査などでは他候補に先行を許す。都連幹部からこの結果を伝えられた蓮舫氏は「1位じゃないんだ…」と応じたという。

ドラマを起こす

立民は政界を引退する小川敏夫参院副議長に代わり、新人の松尾明弘氏を立てた。28年以来の2人当選に向けては、知名度不足が大きな課題となる。そこで、今回は蓮舫氏の地元以外の24総支部を松尾氏支援とし、連合東京からの推薦も松尾氏のみとした。

東京選挙区で3年前、約3万票差で次点となった山岸一生衆院議員は「多摩と23区内で割り振った自分の時より明確だ。知名度はこれから上げるだけ。ドラマを起こすよ」と強調する。

ただ、都連では最終盤までに追い上げなければ草刈り場になるとの危機感を持つ。有権者が死票を避けようと当落線上にあると報じられた候補に流れがちだからだ。メークドラマに向け、時間の猶予はない。(中村雅和)

参院選2022 東京選挙区の候補者一覧

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