ロシアによるウクライナ侵攻以降、エネルギー価格が急騰し、電力の安定供給に対する懸念も広がるなど、エネルギー安全保障への関心が高まっている。そうした中、日本政府が将来の主力電源として期待する風力発電が〝逆風〟にさらされている。欧州では風が吹かず、依存していた国で電気代の高騰が顕著となるなど、自然頼みの弱点を露呈。国内では防衛省のレーダーを妨害するリスクが浮上した。中国メーカーが市場を席巻し始める中、経済安全保障上の懸念を危惧する声も出始めている。
「わが国の消費者物価上昇は、ほとんどがエネルギーと食料品価格の上昇だ」。6月15日の通常国会の閉幕を受け、記者会見した岸田文雄首相はそう述べ、物価上昇に対して「最大限の警戒感を持って対応する」と強調した。
岸田首相が指摘する通り、物価上昇の勢いは止まらない。特に電気代などのエネルギー価格の上昇は顕著だ。日本のエネルギーのロシア依存度は必ずしも高くはないが、エネルギー資源の9割を輸入に頼る日本は、市場価格高騰の影響をモロに受けているのだ。