KDDIの大規模通信障害が、格安スマートフォン業者の顧客争奪戦に影を落としそうだ。格安スマホ各社は「0円料金」を廃止した楽天モバイルからの乗り換えを検討する顧客の獲得を目指して相次いで割引キャンペーンを打ち出している。しかし、KDDI回線の通信品質に懸念が生じたことで、同社の回線を借りる格安スマホ事業者は営業活動に水を差された形。NTTドコモやソフトバンクの回線を借りる事業者に比べて契約の上積みを思うように進められない可能性もある。
楽天モバイルが6月末で最低価格0円の従来料金プランを廃止したことで一部の顧客が解約の意向を示している。民間調査によると約3割が乗り換えを検討しているという。そのため格安スマホ各社は、楽天からの乗り換え意向の顧客獲得に向け割引キャンペーンで攻勢をかける。
関西電力傘下で格安スマホサービス「マイネオ」を提供するオプテージ(大阪市)は、通常は550円の通話「10分かけ放題」を半年間無料にするキャンペーンを6月3日に開始。同社は、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社から回線を借りて格安スマホサービスを提供しているが、調査会社幹部は「KDDIの格安スマホサービスの利用者の割合が他社よりも多く、通信障害の影響も他社より大きいのではないか」と指摘する。