KDDI障害、見通し甘く復旧遅れ 原因究明や補償の行方は不透明

【経済】KDDIの通信障害が続き、auショップの入口には謝罪の文章が掲示されていた=3日午後、東京都・有楽町(鴨志田拓海撮影)
【経済】KDDIの通信障害が続き、auショップの入口には謝罪の文章が掲示されていた=3日午後、東京都・有楽町(鴨志田拓海撮影)

KDDIの通信障害は復旧作業完了まで2日間かかり、完了時間も当初予定よりずれ込むなど、見通しの甘さが露呈した。同社は、過去最大規模となった通信障害の原因究明を本格化させるが、詳細を明らかにするには長時間を要するとみられる。高橋誠社長は3日の会見で補償も検討する方針を明らかにしたが、補償は十分には行われない可能性もある。

「われわれの甘さだ」

「やってはいけない一番のもの」

高橋氏は会見で、通話やネットワークの混雑が集中したことが今回の通信障害の原因となり、事態の長時間化を招いたと述べ、痛恨の表情を浮かべた。

ただ、障害の原因となったメンテナンス作業は定期的に行われているもので、高橋氏は想定外の事故だと強調。「これが事故につながると想定できなかったのはわれわれの甘さだととらえている」と弁明するのがやっとだった。

事故時のバックアップ機能を整備していなかったのかとの問いかけには、「全国で複数台(事故を起こしたものと同じ)設備を持っており、バックアップという意味では十分対応できる設計にしていた」と説明。にもかかわらず障害が長引いた理由などは、精査すると説明するのが精一杯だった。

他社へ「ローミング」議論

今回の障害では、総務省も事態の大きさに危機感を強め、KDDIの情報開示や顧客対応に苦言を呈し、通信分野のトップを派遣するなど過去に例がない対応を取った。「重大な事故」に該当するとして30日以内の詳細な報告を求める方向だが、究明には時間がかかるとみられる。

これまでも総務省は通信障害発生の前段階、「発生の恐れ」の時点での報告を義務付けるよう電気通信事業法を改正するなど、通信障害の対応を強化してきた。ただ、障害発生時に、深刻な影響が出る可能性が高い110番通報などの緊急通報が使えなくなった場合の対応については、さらなる検討が必要だ。

総務省関係者によれば、緊急通報が使えなくなった際に限定して、他社回線に乗り入れる「ローミング」は、東日本大震災発生後に議論されたことがあるという。ただ、その際は通信技術上のハードルが高かったため導入は見送られた。総務省関係者は「緊急通報が全く使えないとなれば、鉄道の振り替え輸送のようなローミングは必要ではないか」と話す。

「お詫び」ならポイント付与か

障害が長引いたことなどから、契約者からは補償を求める声が上がっている。

個人向け携帯電話サービスの契約ルールを定めたKDDIの約款では、サービスを全く利用できないか同程度の状態が24時間以上連続した場合に「損害を賠償する」と規定。今回は「利用しづらい状況」だったため、賠償の対象とならず、KDDIの提供するポイントやデータ通信量の付与などを行い「おわび」の形で対応する可能性もある。

KDDIの約款は、24時間以上続けて不通であれば、基本使用料の日割り額や、直前6カ月間の1日当たりの平均通話料・データ通信料などを基に24時間単位で損害額を算出し、契約者に支払うとしている。

賠償を支払うことを決めれば、個人、法人契約者ともに多くの回線が対象となる可能性もあり、多額となる。高橋氏は法人顧客については、個別の契約内容に応じて考えると説明した。

NTTドコモが昨年起こした障害では、復旧まで29時間かかり、影響人数は延べ1290万人に上ったものの、完全に不通になった時間は限られたとして、個人向けの損害賠償は見送られている。(大坪玲央、日野稚子)

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