目指すは規制の弱体化、ロビー活動を加速する巨大テック企業たち

ロビイストたちの活動の威力

寄付やロビー活動がテック業界にとって実際にやる価値のある努力なのか、一見すると疑問に思うかもしれない。だが、もう一度考えてみよう。

感情的な流れは大手テック企業に不利な方向へと変わったかもしれないが、実際の制裁はまだ野心の段階にある。その理由の一部がロビイストと、ロビイストたちを支援する資金の存在である。

おかげでそれらの法案や規制措置は、すべて議論されている最中にある。議論され、また議論される。その繰り返しだ。そのうちのいくつかは大統領のデスクに置かれることになるかもしれないが(230条を嫌悪するものではないことを願う)、現在の第117回連邦議会は11月の中間選挙後の来年にはリセットされてしまうため、時間がなくなってきている。

エイミー・クロブシャー上院議員は昨年10月、出席した小委員会でフェイスブックを内部告発したフランシス・ホーゲンが証言した日、ワシントンが費やしてきたすべての努力の効果について意気消沈した様子で率直に総括した。「わたしたちは米国の競争法、プライバシー法、テック関連法をアップデートするために何もしていません」と、彼女はツイートしている。「何もしていない。ゼロです。なぜか? なぜなら国会議事堂のいたるところにテック企業が雇ったロビイストがいるからです」

ロビー活動の力を確認したいなら、FTCの委員にギジ・ソーンが指名されたことを見ればいい。ソーンにその資格があることは疑いないが、彼女はこれまで消費者の力を強化することに注力してきた。このため当然ながら、ソーンは企業、特に顧客から多額の金を巻き上げることで知られる強欲な通信会社を敵に回してきたのだ。

それらの利害関係企業が、ソーンの指名承認を数カ月にわたり阻止している。もしすぐに承認されなければ、新しい議会が彼女の指名を完全につぶしてしまうかもしれない。ソーンの指名が保留されていることで、同委員会は民主党員2名と共和党員2名の膠着状態にある。

これに対して報道によると、アマゾン、アップル、フェイスブック、グーグルなどの特別な利害関係をもつ企業が、クロブシャーの改革法案への指示を撤回させるために、主要な州や信念の薄い民主党員を狙って数百万ドル(数億円)規模の働きかけを展開しているという。きつい皮肉だが、このキャンペーンではその主張を納得させるために、Facebook広告やGoogleの広告に何十万ドル(何千万円)も使っている。

起業家たちの“進歩”

テック系の起業家たちがワシントンにかかわりたくないと思っていた時代から考えると、ずいぶんと“進歩”した。当時の起業家たちは世間知らずだったのだ。

自分たちはなぜか特別な存在で、政府を無視しながらビジネスを構築できると考える傲慢さがあった。しかし、米国の政治の汚い穴を避けようとする本能は、賞賛に値するものだった。

弁護士を雇い、ロビー活動をしたからといって、ワシントンの問題が完全に解決したわけではないだろう。これらの企業の一貫した悪行によって、いくつかの制裁措置がとられる可能性が高い。だが、それらの制裁は議員や規制当局、そしておそらく一般市民が望むほどは、厳しいものにも効果的なものにもならないだろう。

6月上旬に話をしたあるベテランの議会職員が、テック業界の利害関係企業とそのワシントンD.C.での活動を総括してこう語っている。「テック企業の人たちは、ほかの人たちと変わりません」。それは決して褒め言葉ではないのだ。

(WIRED US/Edit by Daisuke Takimoto)

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