東京電力管内に電力需給逼迫注意報が出されてから3日で1週間。経済産業省は6月30日、火力発電所の再開など供給力が積み増しされたとして注意報を解除した。電力需要が高まる週明け4日も注意報に基づく節電要請は行なわない。ただ、注意報発令期間中に露呈した太陽光発電供給力の見通しの難しさなど、構造的な問題は解消されないままだ。電力需給の綱渡りは今後も続く。
注意報による節電要請が初めて行われた27日、記者会見場には緊張が走った。夕方の電力供給の余力を示す「予備率」が1・2%まで下がっていたからだ。
電力の安定供給には3%以上の予備率が必要とされる。東電の担当者は、前日の見通しより気温が上昇したことに加え「日射が弱く太陽光発電の出力が弱い」と予備率悪化の要因を説明した。それが、午後の会見では説明が一転する。「朝の想定よりも日射が強まり、150万キロワットほど供給の見通しが改善した」からだ。
結果的に事態が好転したことで供給不安は解消されたが、東電は「150万キロワット程度は上振れも下振れも可能性はある」と明かす。150万キロワットは東電管内の夏のピーク時需要の約3%に相当する。天候で発電量が下振れていたら、需給の状況は大きく悪化していた可能性があった。