記録的な暑さに見舞われた首都圏で不安定な電力供給体制が露呈するなど、電力需給に対する関心がかつてないほど高まっている。10日投開票の参院選では、ロシアによるウクライナ侵攻にともなうエネルギー価格の高騰や、脱炭素の観点からも原発を含めた日本のエネルギー政策に関する議論は不可避な情勢だが、議論が深まっているとはいえず、各党の主張からは現状を打開するような具体策は見えてこない。
日本のエネルギー政策を考える上で、避けて通れないのが原発政策だ。
東京電力福島第1原発事故から11年以上。これまで16原発27基が新規制基準に基づく原子力規制委員会の安全審査に申請したが、再稼働にこぎつけたのは6原発10基にとどまる。定期検査中のものなどもあり、足元で稼働中の原発はわずか4基。国内の全発電量に占める原子力の割合は令和3年が約6%で、25%程度だった福島第1原発事故前と比べると、いまだ大きく水があいている。