ロシアのショイグ国防相は3日、プーチン大統領に対し、ウクライナ東部ルガンスク州で同国軍が最後の防衛拠点としていたリシチャンスク市と隣接地域を制圧し、同州を「解放した」と報告した。国防省が通信アプリで発表した。ガイダイ州知事も同市を「ロシアが確保した」と通信アプリに投稿し、陥落を認めた。
ロシアは東部ドンバス地域(ルガンスク、ドネツク両州)の全域支配を目指しており、東部を巡る攻防は重要局面を迎えた。ロシア軍は今後、ドネツク州への攻勢を強めるとみられる。
米シンクタンクの戦争研究所は2日、ウクライナ軍がリシチャンスク市から計画的に撤退したとみられ、ロシア軍が2日、市を制圧したとの分析を発表した。市内でロシア軍の兵士が自由に歩き回る映像があり、ウクライナ軍はほぼ残っていないか全くいない状況だと指摘した。
ドンバス早期制圧は困難か
ルガンスク州の制圧により、プーチン大統領が侵攻の「主要目標」として掲げたドンバス地域の〝解放〟に一歩近づいた。プーチン政権は、住民の多くがロシア語を話すドンバスの完全制圧を「戦果」として停戦交渉を進めたい思惑だが、ロシア軍の指揮命令系統の混乱や士気の低さなどの問題は続き、早期制圧は容易ではないのが実情だ。(共同)