夏の猛暑を迎えて電力需給が再び逼迫(ひっぱく)している。経済産業省は先月末、東京電力管内に初めて「電力需給逼迫注意報」を4日間継続して発令した。電力をめぐる需給が翌日夕に逼迫し、電力需要に対する供給力の余裕度を示す予備率が5%を下回る恐れがあるとして、家庭や企業に節電を呼びかけた。
そして7月から9月までの3カ月間、政府は7年ぶりに全国で節電を求める。もはや電力不足は常態化しており、夏・冬の電力需要期には需給逼迫注意報や逼迫警報が断続的に発令される見通しだ。さらに来年1~2月には東日本の需給逼迫が一段と厳しくなるとされており、首都圏を含む東日本が「ブラックアウト(全域停電)」に陥る可能性もある。
今年3月、東日本における予備率が3%を下回る恐れが高まり、経産省は「需給逼迫警報」を初めて発令した。この発令が前日夜にずれ込み、節電の呼びかけが遅れたため、需給逼迫を早く知らせる「注意報」と「準備情報」を創設した。それからわずか1カ月で注意報や準備情報を相次いで発令する事態となり、電力需給をめぐる危うさが改めて浮き彫りになった。