参院選東北の選択

③岩手 「小沢王国」の存亡かけた戦い、立民現職と自民新人が激突

立民現職の遊説に2日間にわたり帯同した達増拓也知事=6月26日、岩手県矢巾町(石田征広撮影)
立民現職の遊説に2日間にわたり帯同した達増拓也知事=6月26日、岩手県矢巾町(石田征広撮影)

現新合わせて5人が立候補した岩手選挙区(改選数1)は自民党新人の広瀬めぐみ氏(56)と再選を目指す立憲民主党現職の木戸口英司氏(58)の事実上の一騎打ち。県政界に4半世紀以上も君臨してきた小沢一郎衆院議員(80)=比例東北ブロック=を盟主とする「小沢王国」の存亡がかかった注目の対決で、両陣営がメンツをかけた総力戦を繰り広げている。

先月27日の県議会一般質問で、自民の千葉伝氏が達増拓也知事にかみついた。政治の師である小沢氏の秘書を16年間、自らの政務秘書として9年間仕えた木戸口氏を全面支持する達増知事が25、26日の2日間、木戸口氏の遊説に終日帯同。応援マイクを握り、有権者に腕タッチして回る大サービスぶりだったからだ。

達増知事は県民本位の県民党を標榜(ひょうぼう)、無所属で4選を重ねてきた。3選目の平成27年の知事選から共産党を含む野党共闘の支援の枠組みを確立し、自民推薦候補を立候補取り下げに追い込んで初の無投票当選。4選目の令和元年の知事選は自民推薦候補に約25万票の大差をつけて圧勝した。

千葉氏はなりふり構わぬ達増知事の木戸口氏支援を「あまりに偏った姿勢」と批判した上で、再質問では「県民党は使わず、立憲民主党に入党した方がすっきりするのでは…」と揶揄(やゆ)した。達増知事に矛先を向けるのは、自民が目指す「小沢王国」崩壊のシナリオの結末が、来年の知事選勝利だからだ。

昨年10月末の衆院選で半世紀を超える議員生活で初めて選挙区で敗北した小沢氏の求心力低下は衆目の一致するところ。むしろ「小沢王国」の屋台骨を支えているのは達増知事であり、木戸口氏の野党共闘の橋渡し役を買って出たのも達増知事の後援会だった。

令和元年の前回参院選で旧民主党から自民入りし公認候補として4選を目指した元復興相の平野達男氏が、当時の立民、国民民主、共産、社民の各党が推薦する無所属新人の横沢高徳氏に約1万5千票の僅差で惜敗した。知名度で勝る公認候補が無名の新人候補に屈した敗因を問われた自民県連幹部は「達増知事にやられた」とうめくように声を絞り出した。

公示日に自民新人の応援に駆け付けた岸田文雄首相=6月22日、岩手県北上市
公示日に自民新人の応援に駆け付けた岸田文雄首相=6月22日、岩手県北上市

両陣営の対決は来年の知事選を占う試金石というわけだ。自民は公示日に岸田文雄首相が来県、鈴木俊一財務相が三陸沿岸の遊説に帯同、2日の茂木敏充幹事長に続き5日は野田聖子こども政策担当相が来県予定。木戸口陣営も選挙戦中盤を迎え、先月30日に立民の逢坂誠二代表代行に続いて3日には海江田万里衆院副議長、5日には泉健太代表が来県する予定だ。

自民が30年ぶりに議席を奪還するのか、議席死守で「小沢王国」は続くのか。先行する木戸口氏をわずかな差で追う広瀬氏の注目の総力戦は終盤にかけさらにヒートアップしそうだ。

岩手選挙区には他に、政治団体「参政党」新人の白鳥顕志氏(51)、NHK党新人の松田隆嗣氏(48)、無所属新人の大越裕子氏(58)も立候補している。(石田征広)

参院選2022 岩手選挙区の候補者一覧

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