朝晴れエッセー

10年日記・7月2日

長女の10歳の誕生日に10年日記を書き始めた。子供たちの大切な10年を親としてどう過ごしたのか、書き記したかった。

書き始めた当初は18歳が成人年齢になるとは考えてもいなかったが、子供の20歳の誕生日は私の節目でもある。なんといっても娘の誕生日は、私が人生最大の大仕事を始めた記念日でもある。

先月、その10年日記が最終章を迎えた。

1ページに10年分の記録をつけることのできる日記は、いやでも過去の今日の記録が目に入る。子供たちの学校生活、受験に立ち向かう姿や反抗期、夫と過ごす穏やかな週末、庭の季節の移ろい、ハプニング満載の家族旅行や新たな挑戦。そして、健康が自慢だった私が、6年で7回の入院手術を経験した。

つらい記憶がある日は、今年の今日から過去の今日に目を移すことができない。ただ、時間の経過とともに過去に向き合えるようになり、思い出して、ちょっと笑ってしまう。

あふれる思いで、行をはみ出して書きつづったことが何度もあった。単なる記録だけど、こうして書くから記憶に残る。

人生は思い通りにいかないと感じながらも、振り返ると結構幸せな自分がそこにいる。文末には数多くの「ありがとう」「幸せ」「愛(いと)おしい」の文字が並んでいた。子供と一緒に私も成長しているんだ。

誰かに見せたこともなく、誰かが評価してくれることもない。けれど、これほど自己肯定感の上がる記録はない。さあ、続編の1ページには何を書き始めようか。


阿部智美(49) 奈良県大和郡山市

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