印刷技術、空飛ぶ機械、馬の家畜化…。科学ジャーナリストのジョン・ブロックマン氏が世界各国の学者や哲学者、起業家ら108人に見解を聞いた著書『2000年間で最大の発明は何か』には、消しゴムなど少し意外な発明も出てくる。ただ抄子は、月並みでもやはり電気を挙げたい。
▼自室には扇風機しかなかった少年時代の夢は、冷房が効いた部屋でコーラを飲むことだった。酷暑の時季に涼みつつ、冷蔵庫から冷えた飲み物(今はビールと冷酒)を取り出すとき、昔はどんな王侯貴族も味わえなかった贅沢(ぜいたく)だと文明の利器に感謝を覚える。
▼石川県が舞台の漫画『のみじょし』(迂闊(うかつ)著)10巻に、加賀前田藩が旧暦の6月1日(現7月1日)、冬の間に氷室に保存した雪氷を将軍家に献上していたエピソードが登場する。金沢ではこの日、無病息災を願い氷室饅頭(まんじゅう)を食べるのだという。夏を元気に乗り切るのは大変である。