主張

医師会新体制 国民の信頼回復に努めよ

日本医師会(日医)の新会長に前常任理事の松本吉郎氏が就任し、新執行部が発足した。

松本氏は臨時代議員会で所信表明を行い、「いかなる状況になろうとも国民の健康と生命をしっかり守る」と語った。

ぜひ、有言実行してもらいたい。

新型コロナウイルス禍では病床が逼迫(ひっぱく)し、治療が受けられず自宅で死亡したケースが相次いだ。コロナ患者用の病床であると申告して補助金を受け取りながら、患者を受け入れない「幽霊病床」の存在も問題となった。

感染が疑われる発熱患者の診察に応じない診療所もあった。発熱外来があることを公表しようとしない医療機関も少なからずあり、政府が日医に積極的な公表を促すこともあった。

松本氏は会見で「会員、医師の信頼に応えることができる医師会になるように努力したい。それがひいては国民の信頼を得ることにつながる」と語った。会員の信頼を得たいという思いは分かる。だが、医師のための行為が、患者のためにならない場合があることも忘れてはならない。

一部の中小の医療機関には、コロナ患者を受け入れるとコロナ以外の患者が感染を恐れて受診を控え、それが収入減を招くことへの不安が強かったという。だからといってコロナ患者をないがしろにしてよいわけがない。新体制下では、コロナ禍を通じて失った国民の信頼回復に努めてほしい。

現在、「かかりつけ医」の制度化の是非が医療政策の論点となっている。政府の経済財政運営の指針「骨太の方針」に、「かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行う」ことが明記された。希望者が医療機関に登録する仕組みなどが検討される見通しだ。

制度化されれば、いざというとき、患者が身近な医療機関で受診できないという事態は避けられよう。だが、日医には医師の選別につながりかねないなどとして、難色を示す声が強い。登録者数が少なければ収入に響くという懸念があるのだろうが、患者第一で制度化を図るべきである。

厚生労働省に新型コロナ対策を助言する専門家組織は6月30日の会合で「新規感染者数は全国的に上昇傾向に転じた」との見解をまとめた。日医には、危機感を持って、次の感染拡大期に備えて万全を期してもらいたい。

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