彩時記

キュウリ かっぱも好む旬の味~7月・文月~

体を冷やし、夏バテ防止にも一役買うキュウリ。旬の季節に出回る露地物は香りもおいしさも格別(酒巻俊介撮影)
体を冷やし、夏バテ防止にも一役買うキュウリ。旬の季節に出回る露地物は香りもおいしさも格別(酒巻俊介撮影)

梅雨が明け、季節は一気に本格的な夏へ。うだるような暑さのなか、つめたく冷やしたキュウリを丸かじりすると、体の中から熱が引いていく。この時季しか出回らない露地物のキュウリは理屈抜きで体が欲する、みずみずしい旬の味だ。

キュウリは1500年ほど前に渡来し、平安時代にはすでに「胡(き)瓜(うり)」の文字も使われていたとか。しかし、その強い苦みから江戸時代の初めまでは人気がなく、「水戸黄門」こと徳川光圀は「毒多くして能なし」などと避けていた逸話も残る。

品種改良を重ね、生産が盛んになったのは昭和に入ってから。今では食卓に欠かせない野菜になり、近年は「キュウリビズ」なる造語も話題になっている。東北6県が一体となり、〝キュウリを食べて猛暑を乗り切ろう〟と呼びかける。

「7月から9月まで関東地区に出荷される、約70%が東北で収穫されたキュウリです。そのほぼ半分を占めるのが福島産。今月末から8月上旬にかけて露地物の最盛期を迎えます」

JA全農福島園芸部の斉藤容市さんは、こう続ける。「個人的な感想ですが」と前置きしながら、「露地物は独特の青臭さが穏やかで、うまみがあります」。

キュウリといえば、かっぱの好物でもある。「キュウリを食べて川で泳ぐとかっぱに引き込まれる」など、全国各地にさまざまな言い伝えが残っている。

「川祭りのときや水神様にキュウリを供えるのは、かっぱに頼んで水難被害が起こらぬように祈るためです」と、食文化史研究家の永山久夫さん。

90歳の永山さんは、幼い頃に祖父から聞いた「かっぱ雨」の話が忘れられないという。

《天気がいい夏の日の夕方、突然雨が降ってくる。雨はすぐに止み、村人が畑へ行くとキュウリが10本ほどなくなっている。代わりに、隅にササの葉で包んだコイが置いてある》

「かっぱはおかに上がるときに雨を降らせ、人間に知らせる。頭にのせた皿が干上がると死んでしまうので、悪いと知りながらキュウリをもらって水分を補給したのでしょう」と推測する。

さらに「こういうおとぎ話が生き物に対する哀れみや友情を育み、ひいては水をはじめとする自然を大切にする気持ちにつながりました」と振り返る。

7月24日は文豪、芥川龍之介の命日。晩年の代表作「河童(かっぱ)」にちなんで「河童忌」と呼ばれる。7月はかっぱの季節でもある。(榊聡美)

■旬の和菓子

透明感のあるキラキラとした美しさから「食べる宝石」と呼ばれる「琥珀糖」。煮溶かした寒天に砂糖や水あめで甘みを加えて固めた和菓子で、昔はクチナシの実で琥珀色に色付けしていたことからこの名がある。

見た目に涼を呼ぶ、割り砕いた氷を模したものを中心に、色とりどりのモチーフがあるが、表面はシャリッ、中はプルンとした独特の食感はどれも変わらない。

にいがた琥珀
にいがた琥珀

明治15(1882)年創業の百花園(新潟市中央区)の「にいがた琥珀」は、県内の名所や名産品をかたどった、遊び心あるデザインで多くの人に愛されている。

箱を開けると、新潟市のシンボルであるアーチ形をした萬代橋、特産の枝豆、全国的に知られる長岡市の打ち上げ花火…。色も形もさまざまな一口サイズの8個の琥珀糖が、パズルのようにきれいに収まっている。

抹茶や果物、日本酒などを使って味わいもバラエティーに富んでいる。

専務の太田新太郎さんは、「県外のかたには新潟の風景を想像しながらひとつひとつ味わって、楽しんでもらいたい。新型コロナ禍が落ち着いたら『答え合わせ』をしに、お越しいただけたら」。

価格は1箱1080円。

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