別府湾で水爆実験の痕跡確認、東大など 人新世の基準地候補

1954年の水爆実験の痕跡が確認された大分県の別府湾(東京大・横山祐典教授提供)
1954年の水爆実験の痕跡が確認された大分県の別府湾(東京大・横山祐典教授提供)

1954(昭和29)年に米国が南太平洋のビキニ環礁で行った水爆実験で放出され、第五福竜丸事件などを起こした放射性物質の痕跡が、大分県の別府湾海底の堆積物中に残っていることを確認したと、東京大などの研究チームが1日、発表した。地質時代の新区分として検討されている「人新世」の開始時期を示す基準として提唱する。

50年代は米国や旧ソ連が核実験を繰り返し、拡散した放射性物質は別府湾でも既に検出されていた。太平洋を時計回りに循環する海流に運ばれたとみられる。だが、ごく微量な上に長時間の経過で放射能が弱まり、どの核実験に由来するのか特定が困難だった。

チームの横山祐典東大教授らは、物質の同位体比を高精度に測定できる最新分析装置を使い、別府湾の堆積物が含むプルトニウム同位体の年代変化を解析。海流の上流に位置する沖縄県・石垣島のサンゴ骨格に刻まれた年輪などと照らし合わせ、54年の水爆実験に由来すると突き止めた。

別府湾は、現在の完新世に続く新たな地質時代の区分として検討されている人新世の始まりを、地質学的特徴から示す基準地の候補の一つ。人類が地球環境に大きな影響を及ぼし始めた時代を指す区分のため、核実験の痕跡は基準地の重要な条件とされる。

基準地は国際地質科学連合の作業部会が年内にも選定。核実験の痕跡は他の11カ所の候補地の多くでも検出されているが、横山氏は「痕跡の年代が明確になったことは、別府湾にとって好材料だ」としている。

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