韓国、「脱中国」鮮明に 尹大統領のNATO訪欧 武器・原発セールス外交展開

【ソウル=時吉達也】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は1日、スペインでの北大西洋条約機構(NATO)首脳会議を終え帰国した。滞在中は欧州首脳らとの会談を通じ、武器・兵器や原子力発電の「セールス外交」を精力的に実施。ロシアによるウクライナ侵攻を受けた兵器特需などを狙うとともに、経済成長が鈍化した中国への依存から脱却し、欧州重視に切り替える姿勢を鮮明にした。

「過去20年間韓国が享受してきた、中国輸出を通じた好景気が終わりつつある。中国の『代案』となる市場が必要だ」。尹氏に同行した大統領府の崔相穆(チェ・サンモク)経済首席秘書官は、記者団に今回の訪欧目的が欧州市場の開拓にあると強調し、「脱中国」を宣言した。

尹氏の多国間外交デビューの場は、韓国輸出産業の主力である半導体に続く2つの「新産業」セールスの始まりと位置づけられた。

1つは、安保上の脅威にさらされる欧州で需要が高まる防衛産業だ。韓国は昨年、武器輸出が初めて輸入を超過。すでに世界有数の輸出国となっており、「今後5年で世界3、4位の防衛産業大国になる」(崔氏)ことを目標に掲げる。

尹氏は今回、ウクライナの隣国、ポーランドとの首脳会談に臨み、防衛産業を含む両国関係の深化を確認。ウクライナへの支援に伴い、自国の軍備が不足する周辺国に武器を供給する「迂回(うかい)支援」を兼ねた輸出につなげる方針だ。ポーランド側はすでに5月末、国防長官らが韓国を訪れ戦闘機や戦車の視察を済ませている。

もう一つの新産業は、文在寅(ムン・ジェイン)前政権の「脱原発」政策で「枯れ死ぬ寸前だった」(政府関係者)という原発輸出だ。二酸化炭素の排出削減目標達成に向け、欧州各国は原発の新規建設を急いでおり、尹氏は今回、6カ国の首脳に原発を売り込んだ。「韓国の原発が世界で最も安く、最も安全で、最も早く完成すると自信を持って説明した」。尹氏は帰国の機内で、記者団に対しこう強調した。

「中国の恩恵が減っているので、生きていくために欧州との協力を強化しなければならないということだ」(大統領府高官)。依然として輸出入の2割超を占める最大貿易国であるにもかかわらず、「中国離れ」を明確にした今回の訪欧。韓国国内の専門家からは「公の場で中国を刺激する発言を繰り返し、リスクを高める必要はない」との懸念の声も上がっている。

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