龍(りゅう)ヶ馬場(ばば) 一
水戦を得意とするも陸戦を苦手とする小早川勢は、三浦一人に追い散らされ、退却している。
さすがに重たい疲れが三浦に押し寄せ、鎧(よろい)が厭(いと)わしい。汗だくの三浦は岨道(そばみち)にしゃがむと盾に顎を乗せ青竹を口にはこんで水を飲む。
少しすると先程と別の軍勢が百人ほど山を登ってきた。――吉川(きっかわ)勢だ。この頃、元春は滝小路(たきのこうじ)の火を消していたため元春の家来が率いた一団だ。陸戦、取りわけ……山岳戦を得意とする精鋭の登場に荒く肩を動かす三浦は眉を顰(ひそ)める。
……いま少しやすみたい。も少し間(ま)を置けい。