井崎脩五郎のおもしろ競馬学

「恋と愛」馬名に託した願い

駅裏の居酒屋で、妙齢の女性と隣り合わせになった。

お若いのに、恋愛のカウンセラーをなさっているという。きっと、さまざまな恋愛経験が、カウンセラーという仕事に生かされているんだろうなあと思う。とてもおきれい。

名刺に、「小糸(こいと) 藍(あい)」とあった。

「ご本名なんですか?」

「ええ」

「恋と愛。そう読めますもんね」

「ええ。仕事が仕事なんで、つくった名前だろうって、必ず言われます」

「そうでしょうねえ」

ご両親は、この名前が「恋と愛」というふうにも読めることに、まったく気づかずに命名したらしい。

せっかくの機会なので、恋と愛について聞いてみた。両者に違いってあるのだろうか。

すると、こう教えてくれた。

「恋」は、好きになること。

「愛」は、お互いに嫌われないように心がけること。

そういう違いがありますと、カウンセリングでは教えているそうだ。

なるほど、そういう違いがあるのかと、目からうろこの思いがした。

和英辞書をひいてみたら、恋と愛について、こういう訳語が載っていた。

恋=LOVE

愛=LOVE

 =(保護するような慈愛という意味では)AFFECTION(アフェクション)

そうか、小糸藍さんが、「嫌われないように心がけること」とおっしゃっていたのは、このアフェクションの方を指しているんだなあと分かった。

血統書ファミリーテーブルにあたってみたら、ラブもアフェクションも馬名になっていた。

ラブは、第二次世界大戦が終わった直後の1947年、アメリカ生まれ。

アフェクションは、第一次世界大戦が始まった1914年、フランス生まれ。

そういう時代に、人が馬名に託した願いって、恋や愛だったんだと改めて気づかされる。(競馬コラムニスト)

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