TikTok排除要請 米FCC委員「中国へデータ流出の恐れ」

【ワシントン=塩原永久】米連邦通信委員会(FCC)のカー委員は6月30日までに、米アップルと米グーグルに対し、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」をアプリストアから排除するよう要請する書簡を送付した。米国の利用者データが中国当局へ流出する恐れがあり、「安全保障への深刻な脅威だ」としている。

書簡は24日付で、アップルのクック最高経営責任者(CEO)、グーグルを傘下に持つアルファベットのピチャイCEOにそれぞれ発出。28日にカー氏が自身のツイッターで公開した。

ティックトックをめぐっては、トランプ前米政権が情報漏れの懸念から厳しく対処。アプリを運営する中国IT大手の「北京字節跳動科技(バイトダンス)」と米企業の取引を禁じるなどした。

バイトダンス側は6月中旬、米政府の懸念に対処するとして、米ソフトウエア大手オラクルのサーバーに米国の利用者データを移管すると発表していた。

中国政府は自国のIT企業への締め付けを強めていおり、中国IT企業は情報共有を迫る当局の要求に応じざるを得なくなるとの懸念が根強い。

FCCは主に通信行政を管轄で、政策などは合議で決める。定員5の委員の1人が、IT企業のアプリ運営に対して行った「要請」の法的効果は未知数だ。

ただ、米連邦議会では引き続き、国家安保に関わる情報管理面で、厳しい対中方針が超党派の課題となっいる。ティックトックの運営に対しても不信感がくすぶっている。

ロシアによるウクライナ侵攻では、ティックトック上で、ロシア政府系メディアによる戦争正当化のプロパガンダが大量に流れているとして、共和党の議員グループが問題視している。

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