関西の路線価、インバウンド依存度で明暗 2年連続下落のミナミ、京都は上昇

2年連続で全国最大の下落率を記録した大阪市の繁華街・ミナミ=6月30日午後1時50分、大阪市中央区(沢野貴信撮影)
2年連続で全国最大の下落率を記録した大阪市の繁華街・ミナミ=6月30日午後1時50分、大阪市中央区(沢野貴信撮影)

国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる令和4年分の路線価(1月1日時点)を発表した。近畿2府4県では新型コロナウイルスの影響が和らぎ回復傾向がみられたが、訪日外国人客(インバウンド)が戻らない中で、同じ観光地でも明暗が分かれた。2025年大阪・関西万博やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を見据え、大阪湾岸部への玄関口となるエリアでは価格が上昇した。

全国の税務署別の最高路線価で、2年連続で全国最大の下落率を記録した大阪市の繁華街・ミナミ。観光名所の巨大看板「グリコサイン」付近では同市中央区心斎橋筋2丁目の心斎橋筋(戎橋ビル前)が10・6%下落し、前年の下落幅(26・4%下落)よりは少なかったものの、コロナ禍の影が色濃く残る。

繁華街の道頓堀周辺ではにぎわいが戻りつつあるが、空き店舗や入居募集の張り紙も目立つ。商店街関係者は「客足の底は脱したがテナント側も慎重。無理に賃料を下げてまで空きを埋めようとする動きはないようだ」とする。

インバウンド需要が消えた観光地の中でも、京都市内は様相が異なる。前年は市内の全7税務署で下落した最高路線価が今年は横ばいか上昇に転じた。最高地点は同市下京区四条通寺町東入2丁目御旅町の四条通(みずほ銀行四条支店前)。価格は1平方メートルあたり673万円(前年比3・1%増)で、コロナ禍前の令和2年と同水準まで回復した。

「ミナミと京都でインバウンドへの依存度の違いが顕著に表れた」と指摘するのは不動産経済研究所大阪事務所の笹原雪恵所長。関西国際空港からのアクセスが良くインバウンド集客に傾倒したミナミに比べ、京都市は国内観光客の人気が根強い上、市中心部ではマンション開発業者の投資意欲も高まっているという。

大阪湾岸エリアへの玄関口となる大阪メトロ中央線弁天町駅周辺も、新たな動きを見せる。大阪市港区弁天1丁目の中央大通は3・4%上昇し、近畿2府4県で3番目の上昇率となった。中央線が万博会場の人工島・夢洲に延伸する予定で、アクセスの良さなどが価格を押し上げたとみられる。

路線価が上昇した大阪メトロ中央線弁天町駅周辺=大阪市港区
路線価が上昇した大阪メトロ中央線弁天町駅周辺=大阪市港区

周辺では京阪電鉄不動産が、同駅から徒歩数分圏内に地上29階建てマンションを建設中で、来年1月下旬に完成予定。同社の担当者は「万博に向けベイエリアに注目が集まり、ブランドイメージの向上も感じる」と一帯のさらなる開発に期待するが、万博後の湾岸部での観光資源と目されるIRは、国が大阪府と長崎県の区域整備計画を審査中で、先行きは不透明だ。

大阪学院大の相川真一准教授(不動産学)は「コロナ禍で過度なインバウンド頼みはリスクが高いことが再確認された。アフターコロナや万博ではインバウンドの回帰が期待されるが、国内需要にも目を向けた経営戦略が必要だ」としている。

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