露カリーニングラード緊迫 物流でリトアニアと対立

ロシア国旗
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ロシア西部の飛び地カリーニングラード州(人口100万人)をめぐり、ロシアとリトアニアの緊張が高まっている。露本土とカリーニングラード州の間に位置するリトアニアが6月中旬、ウクライナ侵攻に伴う欧州連合(EU)の対露制裁を履行するとして、同州を出入りする貨物の国内通過を制限したためだ。同州を北大西洋条約機構(NATO)に対抗する上での要衝とみなすロシアは猛反発しており、「軍事措置を辞さない」との声も出ている。

EUとNATOの加盟国であるリトアニアが通過を禁じたのは石炭や金属、建材などを輸送する列車やトラック。リトアニアはEUの対露制裁に対応した措置だと説明している。主に露本土からカリーニングラード州への輸送を想定しており、露側の試算では、禁止された物資は全輸送量の40~50%に達しうるという。

露メディアによると、同州には船舶による輸送も行われており、現時点で住民にパニックは起きていない。ただ、船舶の数には限りがある上、悪天候で船舶の航行が困難になる冬季にどう物資を輸送するかは不透明だという。

ペスコフ露大統領報道官は6月20日、「異例かつ違法な決定だ」と反発。露外務省のザハロワ報道官も29日、「ロシアはリトアニアに痛みを伴う対抗措置をとるだろう」と警告した。

露上院国際問題委員会のジャバロフ第1副委員長は29日、「状況は軍事紛争に発展しうる。露憲法は領土保護を定めている。ロシアは最終手段に訴えることをいとわない」と軍事力を行使する可能性も示唆した。

露専門家の間では、露政権の対抗措置は経済的なものになるとの見方が強い。

ただ、プーチン露大統領は、第二次大戦で旧ソ連がナチス・ドイツから奪取したという歴史を持つ同州を重視。同州はNATO圏のポーランドやリトアニアに接し、バルト海の対岸にはNATO加盟を目指すフィンランドが位置する軍事的な要衝でもある。このため、リトアニアの措置を「敵対行為」とみなすロシアが軍事行動に出る恐れは排除されない。

一方、ロイター通信は6月末、EUがロシアとの間でこの問題を非公式に協議しており、近く妥結する可能性があると報じた。制裁対象品目であっても露領土間の移動であれば、制裁の適用対象外とする案などが出ているという。

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