モビリティー新時代

ガソリン車からEV移行進まず倒産危機も 日本電動化研究所代表取締役・和田憲一郎

充電ステーションに止まる米テスラの電気自動車=6月29日、ニューヨーク(ロイター=共同)
充電ステーションに止まる米テスラの電気自動車=6月29日、ニューヨーク(ロイター=共同)

自動車を取り巻く環境が激変している。ガソリン車ではガソリン価格が高騰するとともに、給油所の減少傾向が止まらない。さらに世界的環境規制の強化により、2035(令和17)年には多くの国でガソリン車、ディーゼル車の新車販売禁止が盛り込まれ、ガソリン車減少へ拍車をかける。

では、新エネルギー車である電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)はどうかといえば、国際エネルギー機関(IEA)によれば、21年のEVやPHVの販売台数は前年比2倍の660万台に達した。しかし、22年は半導体不足、リチウムイオン電池の材料高騰や調達の難しさにより、各自動車メーカーとも生産・販売に苦労している。つまり、ガソリン車やディーゼル車の次の自動車として期待されるEVやPHVがそれほど急激に立ち上がらないことを意味する。

そこで懸念されるのが、ガソリン価格の高騰、規制強化などによりガソリン車の販売が次第に低下し、EVやPHVの立ち上がりがスローであることによって生じるギャップである。かつて、独フォルクスワーゲンのヘルベルト・ディース最高経営責任者(CEO)は、このギャップについて警鐘を鳴らした。「オズボーン効果」といわれるもので、新商品を宣伝すれども実際には生産が順調に立ち上がらず、買い控えが生じて倒産への危機が増す現象である。自動車でいえば、EVやPHVを早々と宣伝するものの、その立ち上がりが遅いことを指す。

さらに、追い打ちをかけるのが価格上昇である。消費者は出費を減らそうとしている。自動車販売が不振に陥る可能性もある。現時点で国内自動車メーカーの収益は好調でも、25年前後を考えると、オズボーン効果とリセッション(後退)の2つの危機が迫っているように思えてならない。

(日本電動化研究所代表取締役 和田憲一郎)

わだ・けんいちろう 新潟大工卒。平成元年三菱自動車入社。主に内装設計を担当し、17年に新世代電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」プロジェクトマネージャーなどを歴任。25年3月退社。その後、27年6月に日本電動化研究所を設立し、現職。著書に『成功する新商品開発プロジェクトのすすめ方』(同文舘出版)がある。66歳。福井県出身。

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