むしろ客数が増えた! 「餃子の王将」の値上げ戦略が大成功した理由

人材育成に注力(出所:2022年3月期決算説明会資料)
人材育成に注力(出所:2022年3月期決算説明会資料)

「王将調理道場」は伝統の調理技術と心を磨くことを学ぶ場ですが、この1年の受講者数は2万5000人以上です。オンラインで配信し、各店舗では自分のスマホなどで受講できるようにしたことで、受講者を大幅に増やしたのです。これが同社の味の安定につながったと思われます。

筆者のコンサルティング先で餃子の王将の話をしたところ、「最近、どのメニューも味が安定している気がする」と言う人が増えています。特にお客さんからの注文の多い14品目の調理技術を教えることで味を安定させ、いつどの店で頼んでも、味が一定という評価が得られているのではないでしょうか。これが餃子の王将のリピートにつながり、固定客を作っているのだと思います。

今はアルバイトのホールスタッフにもオンライン受講できる内容があるようで、あらゆる階層のスタッフに、さまざまな学習機会を作ることで店全体のQSC(クオリティー・サービス・クリンリネスという小売り・サービス業の店づくり3大要素)レベルを引き上げています。

こうした取り組みによって客数と客単価を引き上げたことが、値上げをものともしない結果を作り上げたのです。

値上げについて丁寧に説明

餃子の王将は値上げした14品目に関して、一つ一つ説明をしています。レシピをどう変えて、どのようにおいしくしたのかという値上げに伴う商品改良点を明確にしているのです。

原価高騰や物流費上昇などを吸収するために、企業各社は値上げせざるを得ない状況が続いています。しかしその多くの場合、値上げの理由は書いていますが、それで品質がどう変わるかを明記していません。単なるコスト吸収のために価格転嫁するというのは、お客さんにとってはマイナスです。コスト上昇は仕方ないとして、それであなたのお店はどんな工夫をしているかをお客さんは見ています。同社のように、単なる値上げではなく、それに伴って品質を上げる努力をしているかどうか。ここがこれからの企業に求められる条件です。

値上げをしてもお客さんに支持されるためのコツを餃子の王将に学び、みなさまの会社でも生かしていただきたいと思います。

値上げに伴うレシピの改良点を解説(出所:プレスリリース)
値上げに伴うレシピの改良点を解説(出所:プレスリリース)

著者プロフィール

岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)

ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント

1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。

(ITmedia ビジネスオンライン)

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