ファンコミュニティの「本音」発掘 期待を超える商品に 株式会社アテニア

ファン同士、企業とファンが対話するオンライン空間「ファンコミュニティ」では、参加者自身も気づいていないようなストレスや心の奥深くにある希望といった〝本音〟があふれ出す瞬間がある。ファンケルグループでエイジングケア化粧品などを展開する「アテニア」(横浜市中区)では、こうした本音を発掘してファンの期待を超える商品やサービスにつなげようと6年間、ファンコミュニティでユーザーとの対話を続けてきた。約20万人の女性たちが集い、商品の感想やブランドの魅力から、美容・健康の悩みまで赤裸々に語り合う場へと成長した「アテニア ファンコミュニティ」は、同社の挑戦に欠かせないパートナーとなっている。

「大人女性の本音に寄り添う」をめざすアテニアの斎藤智子社長
「大人女性の本音に寄り添う」をめざすアテニアの斎藤智子社長

リアルな「本音」があふれる宝箱

ファンコミュニティ構築・運営大手のクオンとともに、アテニアが運営する「アテニア ファンコミュニティ」。「大人女性の本音に寄り添う」を掲げる同社にとって「(ファンコミュニティは)宝箱。すべてのプロセスにおいてよりどころとしている」と、斎藤智子社長は説明する。営業戦略室長だった平成27年、自ら発案してコミュニティを立ち上げた。31年に社長就任して以降も、事業戦略部事業企画グループの日下志吏佳子さんとともに運営に携わっている。

「コレコレコレー! この香りこそがアテニアさん(≧∇≦)b」

「あちこちのブランドに手を出していますが、やっぱり戻って来ちゃうんですね、アテニアに。肌がほっとする」

「なんだか新しい自分を見つけたような気分になりました!」

「欲張りかなぁ、私は美白とエイジングの両方叶えたい♡」

7年目を迎えるファンコミュニティは、同じ商品やブランドを愛する仲間が集う安心感からか、臨場感ある言葉にあふれている。「ユーザーの本音の力はすごい。わたしたちが商業的に考えたどんなキーワードよりも何百倍も力強く、コミュニティの仲間同士にも響いている」と、斎藤社長は驚く。コミュニティの投稿は日々、社員全員が参加するオンラインチャットルーム「アテニア好きと繋がり(つながり)たい」で共有する。本来は「アテニアのものづくりが正しいのか確認するため」(斎藤社長)の場だが、「面白いことに社員がファンの口コミに刺激されて、自社製品を買うことが結構あります」と、日下志さんは打ち明ける。コミュニティは社員にとっても、商品の新たな魅力に気づくきっかけを与えているようだ。

斎藤社長はコミュニティで本音が生まれ続ける理由を「企業の前庭のような、消費者とのちょうどよい距離感」とみる。企業運営の場でありながら商業色の強いメッセージに対しては、急に雰囲気が悪くなることさえあるという。日下志さんも「場づくりにはいつも苦しんでいる」と打ち明ける。「アテニアのご愛用歴はもちろん、アテニアへの思い、生活環境などが異なるさまざまなお客さまが参加しているコミュニティなので、皆さんが楽しく本音を語り合える雰囲気を作っていきたい」と話す。

「アテニアコミュニティ」の魅力を語る、斎藤智子社長(左)と日下志吏佳子さん
「アテニアコミュニティ」の魅力を語る、斎藤智子社長(左)と日下志吏佳子さん

プロモーションやものづくりにも変化

経済産業省の生産動態統計によると、昨年度の国内化粧品メーカーの出荷個数は約25億3700万個(前年度比3.5%減)、出荷金額は約1兆4200億円(前年度比3.6%減)でいずれも前年割れ。新型コロナウイルス禍で外出機会減少に伴う買い控えや、インバウンド需要の減少などで厳しい化粧品市場を物語っている。そんななか、同社の化粧品事業では新発売した美白とシワ改善をめざす基礎化粧品シリーズ「ドレススノー」がヒットし、昨年度の売上高は前年度比14.3%伸びるなど好調だった。「基礎化粧品は使用経験があるブランドを使い続ける人が多いなか、奇跡的な成長といえる。コミュニティで女性の本音を探り当て、プロモーションに生かせたことが大きかった」と斎藤社長は言い切る。

昨春発売されたアテニアの基礎化粧品「ドレススノー」シリーズ
昨春発売されたアテニアの基礎化粧品「ドレススノー」シリーズ

ドレススノーの広告宣伝では、コミュニティの、シワやシミなど複数の肌悩みと同時に向き合う女性たちに注目。スキンケアアイテムを選ぶ際には肌質や肌悩みに合う商品を選ぶのが一般的だが、肌悩みが増えるにしたがって女性たちは購入時、どの悩みを優先すべきか「選ぶ」ことにストレスを感じていた。女優、タレント、シンガー・ソングライターと多方面で活躍する小西真奈美さんを起用し、「(美白かシワ改善か)選ばない」「どちらも欲しい」と訴えたことが共感を呼んだ。

小西真奈美さんを起用した「ドレススノー」の広告イメージ
小西真奈美さんを起用した「ドレススノー」の広告イメージ

「コミュニティの声を聞くことで『ものづくり』も変わった」と斎藤社長。商品への不満や改善要望が上がれば、積極的に取り組む。容器の改善や香りへの不満感…費用対効果を期待することが難しいこともあるが、リニューアルすればいち早く違いに気づき、喜びを表現するのもまた、コミュニティの参加者たちだという。「小さな違いにも気づいてくれる。お客さまはすごいな、と鳥肌が立つほど感動した。ベストでないものを売り続けるのはアテニアらしくないと考えてやってきたが、こういう声につながるということをコミュニティのおかげで知ることができた」と斎藤社長は笑顔を見せる。「徹底的にファンの本音に寄り添い、期待を超える商品や体験を提供することが強い共感を生み出すことにつながる」と確信する。

リニューアルを喜ぶ参加者の投稿
リニューアルを喜ぶ参加者の投稿

心のエイジングケアでさらに深くつながる

「世の中の『不』を解消しよう」を企業理念とするファンケルグループ一員として、女性の「不」に向き合ってきた同社。参加者一人一人の本音が、強い共感を生み出すファンコミュニティの特性と、6年かけて築き上げてきたファンとの信頼関係を生かし、「アテニアらしいSDGs(持続可能な開発目標)」へ取り組む考えがあるという。

コミュニティ内に女性の幸せやライフスタイルについて、さまざまな世代が考えや経験を語り合うコーナーを設け、女性自身が気づきや刺激を得られるようにする構想だ。40代女性をメインターゲットとする同社のコミュニティには30~50代女性が多く参加している。日本女性の働き方が多様化するなか、コミュニティでもこれまで、家事や育児、仕事を抱え、健康と美容など自身のケアを後回しにしてしまうといった後悔や悩みを吐露する人やそうした声への共感が広がっており、「女性が当たり前に引き受けているアンコンシャス・バイアス(無意識な偏見)に気づくためのコミュニケーションの場として、ファンコミュニティは役立つはず」と斎藤社長は考える。

「女性が何歳になっても自分が好きでいられるよう、後押しできる企業でありたい。先行きも見えず、ロールモデルもいない。そんな世の中でも女性たちが、『みんなと一緒ならちょっと楽しそう』と、思えるような場をファンコミュニティで提供できたら」と、斎藤社長。ファンと一緒に育てた「アテニア ファンコミュニティ」は、同社の新しい挑戦の力強い支えとなるはずだ。

アテニアの斎藤智子社長
アテニアの斎藤智子社長
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提供:クオン株式会社


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