USBメモリー紛失の男性、約20年前から尼崎市に出入り

兵庫県尼崎市の全市民約46万人分の個人情報が入ったUSBメモリーが一時紛失した問題で、紛失した40代男性が、約20年前から市のシステム関係の業務に携わっていたことが30日、関係者への取材で分かった。男性は市が業務を委託した情報サービス会社「BIPROGY(ビプロジー)=旧日本ユニシス」とは別の会社の社員だったが、市側は「ビ社の社員だと思っていた」と説明。長年にわたり、市が作業態勢などの実情を正確に把握していなかった可能性が浮上した。

市がUSBの紛失を発表してから30日で1週間となる。市やビ社によると、ビ社は日本ユニシス時代の約30年前から、市の情報システムに関する業務を受託。男性は約20年前から作業担当に加わり、情報を管理する市の「情報センター」への入館証のほか、システムからデータを取り出すためのIDやパスワードを市から付与されていたという。市は第三者委員会を設置して調査するとともに、ビ社に対する損害賠償も検討している。

USBの紛失は、新型コロナウイルス対策で非課税世帯などに支給される「臨時特別給付金」の業務に関連して発生。市は今年2月、別の給付業務を請け負ってきたビ社と、給付金業務について随意契約を締結。その後、契約を結び直し委託料は令和3年度、4年度分で計約3・5億円となっている。

市は業務を再委託する場合は、あらかじめ市の承認を得なければいけないと約款で規定。ビ社は、市民からの問い合わせを受けるコールセンターや印刷業務については、再委託の承認を得ていた。しかし、システム開発・運用業務については、無申請で協力会社の「アイフロント」など2社に再委託。ア社がさらに委託した会社の社員が、USBを紛失した男性だった。

ビ社は「システム関係の業務については以前から承認を得ていなかった。業界では委託や再委託が当然のように行われており、承認への認識が甘かった」と説明。一方で、市の担当者は男性について「ビ社の社員だと認識していた。再委託されているとは思っておらず、届け出については気に留めていなかった」と話しており、無許可での再委託が常態化していた可能性もある。

男性が市の情報センターで、市民約46万人の氏名や住所などのデータをUSBに移したのは6月21日。そのまま大阪府吹田市にあるコールセンターでビ社社員らとともにデータの移管作業を行った。尼崎市にはデータを持ち出すのに必要な許可は得ていなかった。作業終了後、データを削除しないまま、ビ社社員らと飲食するなどして泥酔し、USBを一時紛失した。

ネットワークセキュリティーに詳しい兵庫県立大大学院の田中俊昭教授は「情報管理に対する考え方は年々厳しくなり、ルールも変わってきている。市は委託先をきちんと管理していく必要がある」と話した。

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