各国首脳、中露接近で認識共有 首相の呼びかけ結実

NATO首脳会議に出席する岸田首相(中央)=29日、スペイン・マドリード(代表撮影・共同)
NATO首脳会議に出席する岸田首相(中央)=29日、スペイン・マドリード(代表撮影・共同)

岸田文雄首相がドイツで開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)、スペインでの北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で一貫して訴えたのが中国の問題だ。中国は東・南シナ海で力による現状変更を試みるだけでなく、ウクライナに侵攻したロシアとも軍事面での共同歩調をとる。首相は「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と繰り返し欧米諸国の首脳に結束を呼びかけ、認識を共有した。

「5月の東京での日米豪印4カ国(クアッド)首脳会合の最中には、中露の戦略爆撃機がわが国の周辺を長距離にわたり共同飛行した。中露の軍事協力の深化を懸念する」

首相はサミットの討議や2国間会談など機会を捉えては中国の問題を提起した。中国が太平洋島嶼(とうしょ)国に影響力を拡大しており、日本や米国、オーストラリアなどが連携する必要性にも言及した。

こうした首相の訴えに、「秋のG20(20カ国・地域)サミットの中心課題はウクライナだけでなく中国だ」と語る首脳もいたという。首相周辺は「中国に対する脅威は、各国首脳と相当危機感を共有できた」と説明する。

当初、ウクライナ危機で欧州諸国の意識が中国から離れ、ロシアに集中することが懸念された。しかし、サミットの首脳声明には、中国の人権問題や台湾海峡の平和と安定の重要性も盛り込まれた。

首相はこれまで、6月のシンガポールでのアジア安全保障会議(シャングリラ対話)などの外交機会を通じ、中国の動向に対し警鐘を鳴らすなど地ならしを続けてきた。今回はその努力が結実した形で、外務省幹部は「サミットで中国に言及する部分でもめたところはなかった」と安堵(あんど)する。

その一方、首相は6月28日の記者会見で習近平国家主席との首脳会談の可能性について「対話は重要だ。具体的な会談も考えていきたい」と語った。各国と連携して中国の行動を抑止し、東アジアの安定をいかに築くか、「アジアの代表」を掲げる首相の責任は大きい。(田村龍彦、永原慎吾)

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