コロナ給付金不支給訴訟、性風俗業者の請求退ける

東京地裁が入る建物(今野顕撮影)
東京地裁が入る建物(今野顕撮影)

新型コロナウイルス対策の持続化給付金などの支給対象から性風俗事業者が除外されたのは職業差別に当たり違憲だとして、関西地方でデリバリーヘルス(派遣型風俗店)を営む会社が、国などに対し給付金など計約446万円の支払いを求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。岡田幸人裁判長は原告側の請求をいずれも退けた。

訴訟の中で原告側は、性風俗事業者を対象外とする給付要件の規定は「差別を助長するもので違憲・無効だ」などと主張。これに対し国側は、性風俗事業は「性を売り物とする本質的に不健全な営業」で、給付金の支給は国民の理解が得られないと反論していた。

判決理由で岡田裁判長は、給付金は限られた財源の中で行う公金の支出であり「納税者の理解を得られるよう、一定の配慮をすることも許される」と指摘。コロナ給付金は中小事業者の支援を目的としており行政庁の裁量範囲が広く、合理的な根拠があれば、除外規定があっても差別には当たらないとした。

その上で、性風俗事業は対価を得て客の性的好奇心を満たすもので「公的機関の公認の下で行われることが相当でないという観念は大多数の国民に広く共有されている」などと言及。「法律で禁止されていない事業であっても、直ちに公的資金を支出して支えることが相当な事業とはならない」と結論づけ、除外規定は「合憲」と判断した。

判決後、原告側の弁護団は東京都内で会見。「職業をおとしめ、危険に追いやる、心のない判決でした。とても危険な判決だと思います」などとする原告代表者のコメントを読み上げ、即日控訴したと明らかにした。

弁護団長の平裕介弁護士は「『大多数の国民』の理解という国側も主張していない点を、裁判所がわざわざ補強した。証拠に基づかない、差別を助長する判決だ」と批判した。

中小企業庁は「国側の主張が認められたものと理解している」とのコメントを出した。

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