主張

参院選と少子化 対症療法で終わらせるな

日本の少子化は年々深刻さを増している。子供関連予算について、自民党は参院選公約に「倍増を目指す」、立憲民主党は「対GDP(国内総生産)比3%台」にすると明記した。

令和4年版少子化社会対策白書によると、児童手当などの「家族関係社会支出」の対GDP比はフランス2・85%、英国3・24%などとなっているのに対し、日本は1・73%に過ぎない。拡充は必要だろう。

各党とも問題意識を持っているのは分かるが、公約を個別に見ると、どれぐらい危機感を持っているのか疑わしい。

各党公約には「出産育児一時金の引き上げ」「児童手当や育休給付の拡充」「国公立大学の授業料を無償化」「小中学校の給食費を無償化」など助成拡大を中心とした対策が並ぶ。多くは従来の政策の延長線上でしかなく、対症療法に終始していては、少子化を克服することは到底できまい。

女性1人が生涯に産む子供の推定人数「合計特殊出生率」は平成元年に、それまで最低だった昭和41年(丙午(ひのえうま))の1・58を下回り、1・57を記録した。「1・57ショック」と呼ばれ、これを契機に政府は対策に乗り出した。あれから30年以上が経過したが、少子化に歯止めはかかっていない。この現実は極めて重い。

厚生労働省の人口動態統計(概数)によると、令和3年の出生率は1・30と6年連続で低下した。出生数は過去最少の約81万人で国立社会保障・人口問題研究所の推計より6年早い到達となった。

出生率が多少好転しても、出産期の女性人口は減少傾向にあるため、出生数の減少は今後も続く見通しだ。

対策を講じてもすぐに結果が出ないのが、少子化の悩ましいところではある。各党は息の長い戦いであることを覚悟した上で安定的な財源確保策を含めた実効性のある対策を体系的に示すべきだ。

政府には子供政策に関し、介護保険のような社会保険方式による財源確保を模索する動きがある。いわゆる「子供保険」と呼ばれる政策だ。あくまで税方式で対応するのかなど、突っ込んだ議論もしてほしい。

少子化は社会保障制度の維持に影響を与えるだけでなく、国力の低下に直結する。悠長に構えている余裕はない。

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