【マドリード=大内清、カイロ=佐藤貴生】北欧2国の北大西洋条約機構(NATO)加盟をめぐる協議は、トルコが一転して反対を撤回し決着した。水面下では、スウェーデンとフィンランドの加盟を後押しするバイデン米政権の調停が奏功。中国とロシアをにらむNATOの拡大・強化の動きは難所を越えた。
北欧2国の加盟に対するトルコの反対について、バイデン政権はあくまで3者の話し合いに委ねるとしてきた。米国が表立って介入すれば、米トルコの「交渉」の色合いが濃くなり、かえって協議が難航するとの判断からだ。トルコが露製防空システムS400を導入したのに対して米国が最新鋭ステルス戦闘機F35の共同開発計画からトルコを排除するなど、ここ数年で関係が大きくこじれていたことが背景にある。
同時に、米国にはNATO盟主としての責任がある。米政府高官によれば、ロシアのウクライナ侵攻直後に北欧2国に加盟に向けた議論を促したのもバイデン大統領だ。