大阪府立高校の教諭、西本武史さん(34)が適応障害を発症して休職したのは、長時間労働が原因だと認め、府に請求通り約230万円の支払いを命じた28日の大阪地裁判決について、吉村洋文知事は29日、控訴しないと表明した。控訴期限の7月12日に大阪地裁判決が確定する。
吉村氏は西本さんに対し、「判決では、校長に(長時間勤務の改善を)直訴する中、具体的な対策を取らなかったと(学校側の)過失が認められた。申し訳ない」と謝罪した。その上で、学校の部活動指導が長時間にわたり行われている現状を踏まえ、「(教育現場は)仕組みとして過重労働になりやすい環境にある」と指摘し、「裁判で争うよりも、教育委員会には教員の過重労働をいかに減らすべきかということに注力してもらいたい」と述べた。
一方、西本さんは府の控訴断念を受け、「これ以上倒れる教員を出さないためにも、子供たちのためにも、大阪府をはじめとする各自治体、そして国は、教員の長時間勤務問題に正面から向き合ってください」とコメントした。
判決によると、西本さんは平成29年度、世界史の教科担当とクラス担任、生徒指導のほか、ラグビー部の顧問や海外語学研修の準備全般を担当した。29年7月中旬ごろに適応障害を発症し、同年9~12月と30年2~3月に休職した。