J3沼津、退会危機回避 球場照明改修へ 王国復権なるか

照明問題解消にめどがついたアスルクラロ沼津の本拠地「愛鷹広域公園多目的競技場」
照明問題解消にめどがついたアスルクラロ沼津の本拠地「愛鷹広域公園多目的競技場」

静岡県沼津市をホームタウンとするサッカーJ3アスルクラロ沼津がJリーグ退会危機を回避できる見通しとなった。28日、Jリーグの施設基準を満たしていないスタジアムの照明設備改修に向けて市の財政支援が確定し、ネックだった改修費の調達にメドがついたからだ。同県内ではJ1清水、J3藤枝もスタジアム問題を抱えているが、官民一丸となって「サッカー王国・静岡」復権に向けた動きが活発化している。

沼津

沼津のホームスタジアム「県営愛鷹広域公園多目的競技場」(沼津市)の照明設備は現在の照度が500ルクス。Jリーグ基準の1500ルクス以上を満たしておらず、申請締め切りの今月末までに設備改修の計画を提示しなければ、来季のクラブライセンスを失う危機に陥っていた。

改修費は約1億円。運営会社はクラウドファンディングなどで改修費を捻出しようとしたが、約2千万円が足りない状況だった。「市への経済波及効果は大きい」との理由で、市は不足分の財政支援を決断し、一般財源から2千万円などを計上した市の今年度補正予算が28日、市議会で可決された。これで照明設備問題は前進し、今秋から改修が始まる予定だ。

藤枝

J3藤枝MYFCの本拠地、藤枝総合運動公園サッカー場は一足早い5月から改修工事に着手した。藤枝の課題は屋根付きの観客席の増設だ。2年前にJ2クラブライセンスを取得したが、「屋根付きの1万席以上」というJ2基準を満たしていない入場人員問題の解消が条件で、令和6年3月のシーズン開幕に間に合うよう整備を急ぐ。

改修費約23億円は市などが負担。サッカーを核とした街づくり「蹴球都市」を掲げる市は、地域活性化とともに、大規模災害時の防災拠点機能の強化という側面もあるとし、公費による改修に理解を求めている。

清水

老朽化が目立ち、最寄り駅からのアクセスも悪い。近年、J1清水エスパルスの本拠地「IAIスタジアム日本平」(静岡市清水日本平運動公園球技場=静岡市清水区)を巡り、「駅チカ」の新スタジアム整備への待望論が強まっている。観客席の屋根のカバー率がJリーグ基準を満たしていないことも要望に拍車をかけ、静岡市は新スタジアム整備を議論する検討委員会を立ち上げた。年内に有力な候補地案を絞り込む方針だ。

田辺信宏市長は24日の記者会見で、新スタジアム整備について、JR清水駅に近いエネルギー大手「エネオス」の遊休地も候補地の一つとの認識を示しながらも「そこだけではなく、フラットに検討委の議論を見守りたい」と述べた。

今年、中東のカタールでワールドカップ(W杯)が11月に開幕する。世界が熱狂するスポーツの祭典だが、現在、日本代表に招集されている県内出身者は浜松市出身の伊藤洋輝(独シュツットガルト)の1人だけ。日本がW杯に初出場した1998年のフランス大会では代表選手22人のうち県内出身者が9人を占め、サッカー王国・静岡を印象づけたのには遠く及ばず、各クラブの関係自治体はスタジアム整備を通じて〝王国復権〟への期待をかける。

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