コロナ その時、

(45)2022年2月1日~ 新規感染10万人を突破

新型コロナウイルスは、感染力の強いオミクロン株が日本を覆い、全国の新規感染者は2月3日の発表で1日10万人を突破した。岸田文雄政権はワクチンの3回目接種を急ぐ一方で、医療逼迫(ひっぱく)回避のため、入院から自宅療養への切り替えなどを打ち出す。蔓延(まんえん)防止等重点措置の拡大や延長が決まる中、中国では北京冬季五輪が開催された。

政府は、新型コロナウイルスのワクチン3回目接種を加速させるため2月1日、職場接種会場の人数の要件を従来の1000人以上から500人以上へと緩和する方針を発表した。また、自衛隊が運営する大規模接種東京会場では、接種人数の拡大方針も打ち出す。この日、東京都の病床使用率は50.7%に上り、緊急事態宣言発令の要請を検討する目安としてきた50%を超えた。

国内コロナ死者 累計2万人

ただ、重症化率が低いとされるオミクロン株の特性を踏まえ、社会経済活動の停滞につながる緊急事態宣言には政府も東京都も慎重だった。この頃、都の基準に基づく重症病床使用率は約15%で、危機的とまでは言えなかったからだ。2日の衆院予算委員会で、岸田文雄首相も宣言について「今は検討していない」と否定した。

都は3日、重症病床使用率30~40%など3項目を緊急事態宣言発令の新指標に設定する。小池百合子知事は「医療提供体制と社会経済活動の両方を守る観点から(の措置)」と説明した。だが、こうしている間も感染者数の増加は止まらない。3日発表された国内の新規感染者は初めて10万人を突破し、国民の間には「本当に大丈夫なのか」と不穏な空気が漂った。コロナ対策は医療逼迫(ひっぱく)の回避に主眼を移す。8日には厚生労働省が、4日間の入院後、酸素投与が必要な状態への症状悪化がなければ、自宅療養などへ切り替える新たな目安を発表した。

国民の経済活動は守りたい。しかしそこにも暗雲が漂ってくる。欧米を中心にコロナ禍からの経済再開による需要増と、オミクロン株の感染拡大に伴う物流の混乱などによる供給減で、原油などの資源価格が上昇。主要国にインフレ圧力となってのしかかり、先行きの不透明感が一層強まったのだ。

厚労省の専門家組織は9日、この第6波について「ピークを迎える可能性がある」と分析する。ただ、依然として感染者の絶対数は多く、死者は全国で連日100人台に。11日には累計で2万人を超えた。

コロナ関連が大きく報道される日が続く中、4日には北京冬季五輪が開幕した。新疆ウイグル自治区の人権状況などを問題視し、米英豪などが外交的ボイコット。日本は外交的ボイコットという言葉を使わずに政府関係者の派遣を見送る苦しい対応となった。国際政治のきしみが色濃く反映された五輪だったが、競技では日本人選手も活躍。6日にはジャンプの小林陵侑(りょうゆう)選手、11日にはスノーボードの平野歩夢(あゆむ)選手が金メダルを獲得し、この時期、数少ない明るい話題になった。

欧州では次々に規制を緩和

日本の爆発的な感染状況をよそに、海外ではコロナ対策を緩和する動きが広がった。

デンマークは1日、欧州連合(EU)で初めて、国内での行動規制をすべて撤廃。飲食店や屋内施設を利用する際のワクチン証明の提示やマスク着用の義務がなくなった。当局は「(コロナは)もう深刻な脅威ではない」と説明した。

フランスも2日、感染抑制策の一部を解除し、屋外でのマスク着用義務を終了。可能な範囲で企業に義務付けていた在宅勤務を「推奨」に変更した。スペインは10日、イタリアは11日、それぞれ屋外でのマスク着用義務を解除した。米東部ニューヨーク州も10日、屋内でのマスク着用義務を学校や医療機関、公共交通機関を除き解除した。

だが、世界的な感染者数の増加は止まっていない。累計の感染者数は9日、世界全体で4億人を超えた。米ジョンズ・ホプキンズ大の調べでは、6日までの1週間の死者は約7万5000人。デルタ株が各地で主流となった2021年夏のピークを上回った。

さらに、オミクロン株の派生型「BA・2」が拡散していることも判明。こうした中で規制を撤廃する動きが各国に広がっていることに、世界保健機関(WHO)は、性急な規制緩和が感染増加と、それに伴う新たな変異株出現を招くとして警戒感を示した。

(44)2022年1月1日~ 蔓延防止ドミノ、一気に第6波に突入

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