【ワシントン=塩原永久】バイデン米大統領は27日、ロシアから輸入する特定の物品に課した関税率を35%に引き上げる布告を出した。ウクライナ侵攻を受け、ロシアへの貿易面の優遇を認めた「最恵国待遇」を撤回した対露制裁に基づく措置。ロシア産品への関税が高くなり、ロシアの輸出競争力に打撃を与える狙いだ。
バイデン米政権は3月、世界貿易機関(WTO)の規定に沿って関税を低く抑える最恵国待遇を撤回する方針を表明。4月に成立した関連法は、大統領の権限で関税を引き上げることができるとしていた。
米国で従来、ロシアからの輸入品に課された関税率は平均3%程度だった。布告によると、今回の対応では、「輸入を禁止していない特定の品目」が税率引き上げの対象になる。
これまでに米政府は、対露制裁としてロシア産の石油海産物、非工業用ダイヤモンド、アルコール飲料などの輸入を禁止していた。
関税引き上げの布告はロシアに協力するベラルーシの対米輸出品も含まれた。
米商務省によると、侵攻前の2021年、米国がロシアから輸入した物品の総額は約296億ドル(約3兆4千億円)だった。