将棋の魅力の一つは、さまざまな駒を縦横に指して敵陣を攻めるところだ。第92期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負を前にした昨年5月、藤井聡太(19)は作家、柚月裕子(54)との対談で「使いづらい駒はありますか」と聞かれ、「どの駒もうまく使うことができれば、活躍の場所は必ずあります。使いづらい、というのは駒の問題というよりも自分の力の問題でもある気がします」と答えた。
藤井はこの直前に「好きな駒は」と問われて、こうも言っている。
「角が好きですね。飛車と並んで強い駒ではあるんですけれど、飛車の利き(動ける範囲)と比べて角の利きは相手に止められてしまうことも多くて、価値が大きく変動します。角をどううまく使うかは、おもしろいところですね」