進むロシアの経済孤立 G7サミットで金禁輸合意

ウクライナのゼレンスキー大統領(左上)がオンラインで参加して行われたG7首脳の討議=27日、ドイツ南部エルマウ(代表撮影)
ウクライナのゼレンスキー大統領(左上)がオンラインで参加して行われたG7首脳の討議=27日、ドイツ南部エルマウ(代表撮影)

先進7カ国首脳会議(G7サミット)は世界有数の産出国であるロシアからの金禁輸で合意し、ウクライナ侵攻を続けるロシアを世界経済からさらに孤立させる。ただ、欧米では既にロシア産の金の取引は難しい状況で、市場に与える影響は良くも悪くも限定的になりそうだ。制裁に参加しない中国などの〝抜け穴〟がロシアの戦費調達を支えており、実効性の確保が厚い壁となって立ちふさがる。

「金はロシアにとってエネルギーに次ぐ輸出品。これまでは大半をG7に輸出しており、収入の流れを断つことは意義深いことだ」

ブリンケン米国務長官は26日のCNNテレビでこう指摘し、年間190億ドル(約2兆5700億円)の歳入を止めると説明した。

エネルギーや穀物の輸出大国であるロシアは、中国とオーストラリアに次ぐ世界第3位の金産出国でもある。世界で採掘される金の約1割はロシア産だ。ロシアの中央銀行が保有する金の取引は既に禁じられており、今回の禁輸を受けて、交易の中心であるロンドンとニューヨークの両市場からも完全に締め出される。

一方、金は産出国の偏りが小さく代替の輸入先確保が可能な上、市場も既にロシア産の禁輸は織り込んでいるため、金相場への影響は限られそうだ。経済活動に直結するエネルギーなどへの制裁と比較すれば、西側が被る痛みは小さい。

逆に、西側がロシア産の金の禁輸に踏み切っても、制裁に加わらない中国の上海市場などでは取引が続きそうだ。ロイター通信によれば、世界有数の中継拠点であるスイスも5月、侵攻後初めてロシア産の金を輸入した。G7との取引量を全てこうした国々で売りさばくのは難しいとしても、制裁逃れの抜け穴は残る。

G7はこれまで石炭や石油、ダイヤモンドなどロシアの資金源となる幅広い物品の禁輸で合意したが、中国やインドがロシア産を買い支え、狙い通りの効果は出ていない。資源価格高騰はロシアの外貨収入を増やす一方、物価高が逆に西側を苦しめており、プーチン体制を追い詰める効果的な一手がなかなか見えない。

(田辺裕晶)

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