NATO 即応部隊を30万人以上に増員 前線の防衛能力強化

北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長(ロイター)
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長(ロイター)

【マドリード=板東和正】北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は27日、ブリュッセルで記者会見し、緊急事態に短時間で対応できる高い能力を備える多国籍部隊「NATO即応部隊(NRF)」を30万人以上に増員する方針を表明した。現在のNRFは約4万人で7倍以上増やす。ロシアの脅威を念頭に周辺の東欧諸国の軍備増強などを後押しする考えで、ストルテンベルグ氏は「前線の防衛能力を強化する」とした。

今回、増員されるのはNRFの中で最も高い即応性を誇る「高度即応統合任務部隊」。今月29日に本格的な協議が始まるNATO首脳会議で増員が決定する見通し。

ストルテンベルグ氏は今年2月、NRFの一部を欧州東部に派遣すると表明していた。NRFは東欧の加盟国の防衛強化に貢献すると期待されている。

ストルテンベルグ氏は会見で、即応部隊の増強とともに、欧州東部の加盟国の部隊を旅団級に格上げする方針を表明。「冷戦以降、最大の集団防衛と抑止力の見直しになる」と述べた。

また、首脳会議での採択を目指す行動指針「戦略概念」の中で、ロシアに対するNATOの新たな立場を示すと指摘。ロシアを「われわれの安全保障に対する最も重要かつ直接的な脅威であることを明確にする」と述べた。2010年に採択された現行の戦略概念ではロシアとの「真の戦略的パートナーシップを求める」としていた。

また、ストルテンベルグ氏は新たな戦略概念で中国に対するNATOの立場を初めて示す方針に触れ「中国が(欧州の)安全保障、利益、価値観にもたらす挑戦について言及する」と強調。「(今回の)首脳会議は多くの重要な決定が行われ、(NATOを)変革させるだろう」との見方を示した。

一方、ストルテンベルグ氏はスウェーデン、フィンランドの北欧2カ国のNATO加盟について加盟国のトルコが反対の姿勢を示している問題について「(問題解決に向け)懸命に取り組んでいる」とした上で「首脳会議までにどのような進展があるのかを語るのは時期尚早だ」と述べた。

英メディアによると、首脳会議に先立ち、トルコ、スウェーデン、フィンランドの3カ国の首脳とストルテンベルグ氏による協議が28日にマドリードで行われる予定。

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