「2人なら永遠に歌える」野口五郎&岩崎宏美 共演コンサート好評

取材でも息の合ったところを見せた野口五郎(右)と岩崎宏美=東京都港区(石井健撮影)
取材でも息の合ったところを見せた野口五郎(右)と岩崎宏美=東京都港区(石井健撮影)

昭和の歌謡界を代表する歌手の野口五郎(66)と岩崎宏美(63)が、豪華な共演コンサートで全国をツアー中だ。大好評で、7月の東京公演のチケットはすでに完売。8月に追加公演が決まった。

今年で歌手生活51周年の野口、47周年の岩崎。昭和の歌番組では、しばしば顔を合わせたが、英ロンドン・ミュージカル「レ・ミゼラブル」の日本初演(昭和62年)で共演して以来、まるで顔を合わせなかったという。もちろん本格的な共演は、これが初めて。

きっかけは一昨年。テレビの歌番組でデュエットをする機会を得た。

「収録の本番で思いついて、宏美ちゃんと同じ高さで歌ってみた」と野口。男性は女性の1オクターブ下で歌うことが多い。高音が得意の野口ならではの試みだったが、2人で同じ高さで歌った響きが、ことのほか美しかった。

「このデュエットは、きっと面白いものになるに違いない」とひらめいた野口は、その場で岩崎にデュエットの企画をもちかけた。

「僕らは(作曲家の)筒美京平先生の歌を多数歌った〝筒美っ子〟であるという共通点があります。いま思うと歌番組の収録は、ちょうど京平先生が他界された頃。先生が『たまには2人で歌ってみたら』と、引き合わせてくれたのかもしれない」と野口は付け加える。

岩崎は「かつて歌番組や音楽祭をにぎわした歌手が、ほとんどいなくなりました。(山口)百恵ちゃんも、(桜田)淳子ちゃんも…。五郎さんとは『お互い長く歌ってきたのだから、ここらで何か一緒にやってみようか』という感じですね」と語る。

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昭和、平成、令和と歌い続けている2人。昨年、デュエットのシングル「好きだなんて言えなかった」を発売し、東京、名古屋、大阪で公演した。これが、大好評だった。

「拍手が、びっくりするぐらい大きくて、長くて、うれしかった」と岩崎は驚きを語る。「長く歌ってきた2人が、同じ舞台に立ったことへの称賛だったのかな」

野口も「一緒に歌ったことに対して、〝丸印〟をいただけた」と観客への感謝を口にする。

岩崎はまた、「1人のコンサートは、全部を背負っている重圧感があるけど、隣に支えてくれる人がいる喜びがあった」とも。

好評を受け、今年5月から再びコンサートツアー。去年の3公演から、北海道から福岡までの11公演に拡大した。さらに、7月1日の東京国際フォーラム(千代田区)公演では豪華に東京フィルハーモニー交響楽団を伴奏に迎えるが、この公演はすでに完売。そこで、東京ではオーケストラとの共演ステージについては8月28日にNHKホール(渋谷区)で追加公演をすることになった。

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5月にはアルバムも発売しており、そのタイトルは「Eternal Voice」。永遠の歌声。コンサートツアーの題名にもなっている。

「年をとると夢を思ったり、未来を考えたりはしなくなる。だけど、2人で歌っていたら、まだこれから先があるんだと思えてきた。もしかしたら、永遠に歌えるのではないかという気持ちにもなった」と野口は力強く語る。

一方、岩崎はプロデューサーとしての野口の力量も絶賛する。

「実は私は、デビューしてから一度も『こういう感じで歌ってください』と指示されたことがないんです。でも、五郎さんとのレコーディングでは息継ぎの場所、長さまで指定されて、自分の知らなかった自分の歌ができ上がった」

声楽家で昭和のオーディション番組「スター誕生!」の厳しい審査員としても知られた松田トシに師事した岩崎だが、野口は「息継ぎが分かるように歌ったら松田先生から叱られそうだけど、叱られるようなことをやってほしいんだよね」と説明する。

すると、岩崎が「使える音楽オタクだから」と野口をからかう。実は、明るくてにぎやかな2人。インタビューの間も丁々発止のやりとりが続いた。

「私鉄沿線」(野口)、「ロマンス」(岩崎)などそれぞれの往年の大ヒット曲を次々に歌うコンサート。だが、単なる懐メロの披露にはならない。それが、2人で歌うことの相乗効果だ。「僕らは、過去の歌で未来を歌おうとしているのです」。野口が力説すると、また岩崎。「うまい! あ、うまいなんて、私、生意気ね。あはははは」と笑う。「お前…1杯飲んできたんじゃないか」と、あきれ顔で野口も笑った。(石井健)

野口五郎と岩崎宏美の「2022プレミアムコンサート~Eternal Voices」の追加公演は、8月28日午後5時から、東京のNHKホール(渋谷区)で。S席1万2千円、A席1万円、B席8千円。問い合わせはキョードー東京0570・550・799。

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