北京春秋

タイムマシンに乗って

北京で働く知人が、近く日本に一時帰国すると話していた。その理由に驚いた。「海外出張へ行くため」だというからだ。

「ゼロコロナ」政策の下で厳しい新型コロナウイルス対策を継続する中国は、入国者に対する専用施設での隔離を今も義務付けている。北京では、世界主要都市との直行便も防疫措置のため運休が続く。海外出張から戻るたびに隔離や国内移動で時間と手間がかかるのでは仕事にならない。そこで、夏休みも兼ねて北関東の某県にある実家を一定期間拠点とし、必要な海外出張を数件こなすという計画を立てたという。北京よりも北関東某県の方が世界へのアクセスが良いという判断だった。

「タイムマシンに乗ったようだ」。北京に住むある欧米人は、中国の防疫対策にこうため息をついた。世界ではコロナ禍が一定の落ち着きを見せる中、中国では1~2年前に欧米各国で盛んだったロックダウン(都市封鎖)をとる都市が今になって拡大している。時が戻ったような現状を時間旅行になぞらえたわけだ。

習近平国家主席は、ゼロコロナ政策の「堅持」を今も強調しており、水際対策の抜本的な見直しはまだ先になるという観測がささやかれる。海外への出張や旅行はまだ遠く、タイムマシンの旅が当面は続きそうだ。(三塚聖平)

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