女性候補「マドンナ旋風」超えも 依然阻む高い壁

元衆院議員の金子恵美氏(レプロエンタテインメント提供)
元衆院議員の金子恵美氏(レプロエンタテインメント提供)

7月10日投開票の参院選は、女性候補者の割合が戦後の国政選挙で初めて3割を超えた。政治の現場では女性議員が必要との考え方が広がってはいるものの、男女間の意識格差もあり、日本の国会議員の女性比率は先進7カ国(G7)で最下位。国会議員を経験した女性は、政策の充実には女性議員を含めた多様な視点が必要だと指摘している。

政党などに男女の候補者数をできる限り均等にする努力義務を課した法律が平成30年に施行されてから、今回の参院選は3度目の国政選挙。参院選で最多の181人の女性が立候補し、全体の33・2%を占めた。土井たか子氏率いる当時の社会党が「マドンナ旋風」を巻き起こした平成元年の146人を35人上回る。

世界各国の国会議員(二院制の場合は下院)の女性比率はどうか。内閣府によると、衆院の女性議員(4月28日時点)は9・9%。各国の議会が加盟する列国議会同盟(IPU)のデータ(5月1日時点)にあてはめると、185カ国中162位となる。G7の中ではフランスが39・5%と最も高く、3割未満は日本と米国(28・1%)の2カ国だった。各国全体の平均は26・4%。

議席の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」などへの賛否は分かれるが、女性議員を増やす必要性は多くの議員が感じている。衆院のアンケートでは、女性議員の数が「不十分」または「どちらかといえば不十分」と回答した衆院議員は計82・7%に上った。

なぜ女性議員は増えないのか。要因の一つが子育てとの両立であり、背景に男女の意識格差がある。

地方議員計5513人を対象にした内閣府調査によると、議員を続ける上での課題として「議員活動と家庭生活(家事、育児、介護など)の両立が難しい」と感じる男性議員は13・7%だったのに対し、女性議員は33・7%だった。

「妊娠が喜ばしいことと受け止めてもらえず、ショックだった」。在職中に出産・子育てを経験した元衆院議員の金子恵美氏(44)はこう振り返る。

平成24年に初当選し、27年に妊娠。議員活動を続けたが、流産の一歩手前の「切迫流産」と診断され、一時入院した。地元・新潟での会合を欠席しようとすると、ある男性議員に「新幹線のグリーン車なら横になって帰ってこられるだろう」と言われたという。

出産後も、後援会関係者らとの宴会への出席を減らすと「議員活動に専念できていない」。その半面、子供を連れて地元の祭りに参加すると、「子育て支援のアピールで子供をダシにしている」と批判された。

政治家の役割は多様な立場の意見を集約して政策に反映させることにある。内閣府の調査では、女性議員が少ないことで「子育てや福祉などの課題をつかみにくい」との声も上がった。

金子氏は「『政治は男性がするもの』と考える人が今でも多いが、女性議員は育児などで活動に制約があっても、男性とは違う活躍の仕方があることを知ってもらいたい」と話した。

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