連載小説「厳島 ITSUKUSHIMA」(165)決戦・十二 武内涼2022/6/27 11:00有料プラン記事ライフ本学術・アート小説「厳島」反応決戦 十二「弘中かっ、いかん! 退けぇ」隆兼(たかかね)に気付いた元春が叫ぶも、その時にはもう弘中の槍(やり)波がどっと吉川(きっかわ)勢にぶつかり、いくつも血飛沫(しぶき)が噴いている。槍で首を刺されたのだ。弘中勢の多くの槍が、吉川勢の鎧(よろい)に阻まれるも、中には渾身(こんしん)の一突きとなって鎧の向こうの心臓を刺した槍もあったし、打撲に近い衝撃で胃液を吐きながら崩れた吉川兵も、いた。薙刀(なぎなた)を極めたゆえ足への攻撃の重さを知る隆兼は、