ウイグル弾圧 指示の幹部〝閑職〟に 強権政策は緩めず

「拘束した人間が数歩でも動いたら射殺せよ」など、弾圧の実態が記された中国共産党幹部の発言記録(共産主義犠牲者記念財団の「新疆公安ファイル」から)
「拘束した人間が数歩でも動いたら射殺せよ」など、弾圧の実態が記された中国共産党幹部の発言記録(共産主義犠牲者記念財団の「新疆公安ファイル」から)

中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区の公安当局から大量流出した内部資料でウイグル族弾圧を指示していたとされる自治区の前トップは最近、〝閑職〟に追いやられたことが表面化した。弾圧が国際的な問題に発展した責任をとらされたとの見方もあるが、明確な理由は不明。ただ、中国当局が強権的な少数民族政策の手綱を緩めることはないとみられる。

中国共産党は昨年12月、陳全国・自治区党委員会書記の交代を発表した。陳氏の異動先は明らかにされていなかったが、中国メディアは今月中旬、ようやく新たな肩書を「党中央農村工作指導グループ副グループ長」と伝えた。同グループのトップは陳氏と同じ政治局員の胡春華(こ・しゅんか)副首相。

陳氏は2016年に自治区トップに就任し、ウイグル族への「再教育」など同化政策を推進。20年には米政府の制裁対象になった。

陳氏は党・政府の要職に起用されるとの見方もあったが、香港紙の明報は陳氏について「テロは抑圧したが、国際的な論議も引き起こした」と指摘。「政界から徐々に消える」ことになるとの見解を伝えた。

このほか、陳氏の人事をめぐり、自治区での統治手法がとがめられたとの見方の一方、習近平国家主席と距離がある李克強首相に近いとされる事情や健康問題などを指摘する声もある。

ただ、全国人民代表大会常務委員会は24日、少数民族政策を担う国家民族事務委員会の主任(閣僚級)に潘岳(はん・がく)氏を起用する人事を決めた。66年ぶりに漢族の就任となった前任者に続き、2代連続で漢族がトップになったことで、事実上の同化を進める少数民族政策の継続が明確になったと受け止められている。

一方、中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は5月24日の記者会見で、流出資料で改めて焦点が当たった少数民族への弾圧について「噓やデマをまき散らしても世間を欺くことはできず、新疆の社会安定や経済繁栄、人民が安穏に暮らしている事実を覆い隠すことはできない」と主張した。(北京 三塚聖平)

ウイグル弾圧の内部資料大量流出 中国新疆ウイグル自治区のカシュガル地区とイリ・カザフ自治州の公安サーバーから、ハッキングによって内部資料が大量に流出し、米非営利団体「共産主義犠牲者記念財団」などが5月下旬、「新疆公安ファイル」として資料の分析結果を公表した。資料は中国が「職業技能教育訓練センター」と呼ぶ収容所などの実態を示す写真や2万3000人超の収容者名簿、約2900人分の顔写真、共産党幹部の発言記録など、2017~18年を中心とした数万点。

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