東電の電力不足常態化 他電力融通と天候改善の幸運で凌ぐ

電力需給逼迫(ひっ迫)注意報を受け、テレビの電源を落として営業する家電量販店=27日午後、東京都品川区のヤマダデンキLABI LIFE SELECT品川大井町店(松井英幸撮影)
電力需給逼迫(ひっ迫)注意報を受け、テレビの電源を落として営業する家電量販店=27日午後、東京都品川区のヤマダデンキLABI LIFE SELECT品川大井町店(松井英幸撮影)

政府は東京電力管内で節電を呼びかける「電力需給逼迫(ひっぱく)注意報」を、28日も継続する。背景には6月として記録的猛暑が続く中、需要に対して十分な電力供給ができていない状況がある。電力の需給バランスは、発電設備の稼働状況だけでなく、天候や時間帯でも大きく変化する。脱炭素化などを背景に夏と冬の電力不足傾向が常態化する中、電力需給の綱渡りは今後も続きそうだ。

電力を安定的に供給するには、需要に対して3%の供給予備率が必要とされる。経済産業省は26日時点で、27日に最も需給が逼迫するのは午後4時半から午後5時で、予備率は3・7%と予測。この時間帯以外も日中は7%台の水準が続くことから、今年新設された注意報の初適用に踏み切った。

しかし、実際の気温は前日の予想よりも0・5度程度上回った。気温が1度上昇すれば、需要が増加して予備率は2~3%下がるといわれており、同日午前には夕刻の予備率予測が1・2%まで低下。緊張感が高まり、同日午前の会見では担当者が「警報」発令の可能性にまで言及していた。

節電への協力や他電力からの電力融通のほか、当初は稼働率の低下が予想された太陽光発電の発電量が、逆に増加するなどの〝幸運〟にも恵まれ、27日は最悪の事態を避けられたが、28日以降も当面は需給逼迫の状況は続く見通しだ。

東電によると、予備率が3%を下回ったとしてもすぐに管内で停電などが発生するわけではない。ただ、需給のバランスが逆転すれば発電設備が故障し、大規模な停電につながるリスクがある。そのため、需要が増え続けて予備率が0%に迫れば、需要を緊急的に遮断する「周波数低下リレー(UFR)」という装置が自動的に作動し、送配電網の一部で強制的に停電を起こす可能性はあるという。

一方、需給をコントロールできるうちは管内の広い範囲が停電する「ブラックアウト」となる可能性は低いという。ただ、発電設備で予期せぬトラブルなどが発生すれば、そのリスクも皆無ではない。平成30年に北海道で発生したブラックアウトも、地震に伴う主力の火力発電所の運転停止が原因だった。

経産省は停電リスクの低減のため、さらに需給状況が悪化することになれば「警報」に切り替えて、節電目標を設定するなど、より強い形で節電の要請を行う方針だ。(蕎麦谷里志)

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