スポーツカー販売好調 「エンジン車で最後の可能性」で駆け込み

販売が好調な「ロードスター990S」(マツダ提供)
販売が好調な「ロードスター990S」(マツダ提供)

エンジンで動くスポーツカーの販売が伸びている。国内自動車各社は、脱炭素に向け電動化を推進中で、〝お目当て〟のスポーツカーがエンジン車タイプとして最後のモデルになる可能性があり、駆け込み購入が多いためだ。新型コロナウイルス対策で海外旅行などを控えた人らが、趣味や投資目的で購入するケースも増えている。

「想定以上の売れ行きで驚いている」。マツダ国内営業本部の二宮誠二主幹はこう述べ、コロナ禍で販売が落ち込んでいた2人乗りオープンスポーツカー「ロードスター」の巻き返しに目を丸くする。

ロードスターは平成元年に発売され、世界で最も多く生産された2人乗り小型オープンスポーツカーとしてギネス認定されている。27年からは4代目だ。

マツダは昨年12月、そのロードスターに特別仕様車として「990S」を投入した。重量は車名の通り990キロ。軽量化で動力性能を高め、走る楽しさを追求した。990S効果は今年に入ってすぐにあらわれ、1~3月は単月で1000台以上のロードスターを販売。1000台を超えたのは約5年ぶりのことだ。

4月は半導体不足や、中国上海市のロックダウン(都市封鎖)の影響で部品調達が滞り減産を余儀なくされて販売が減少したが、「受注は好調だ」(マツダ関係者)としている。

マツダは令和12年までに生産する全ての車を電動化する方針を示しており、4代目ロードスターがエンジン車として最後になるとみられることが販売増につながっている。

また、コロナ禍で密を避ける移動手段として車が見直されており、その影響もスポーツカーに及んでいるとみられ、「旅行に行けない人などが、車(スポーツカー)に投資するケースも目立つ」(同本部の大関卓也アシスタントマネージャー)という。

トヨタ自動車が昨年10月に発売した「GR86」(同社提供)
トヨタ自動車が昨年10月に発売した「GR86」(同社提供)

トヨタ自動車もエンジン車タイプのスポーツカーが好調だ。昨年10月にSUBARU(スバル)と共同開発した新型の「GR86」を発売。月間販売台数は700台を目安にしているが同10月以降、その2倍で推移している。「約4割が20代、30代の顧客で若年層にも受け入れられている」(広報担当者)という。ロードスター同様、電動化を見据えた購入も多い。

ホンダは今年3月に2人乗りスポーツカー「S660」の生産を終了した。昨年3月に特別仕様車の販売を受け付けたが、約2週間で予定台数が完売。同11月に650台を追加生産し、抽選販売を行ったところ、2万7000件の応募があった。年内で生産をやめる最後の高級スポーツカー「NSX」も完売した。

同社は令和22(2040)年に世界で販売する新車の全てを電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)にする計画を掲げており、「(エンジン車が)なくなることを知ると、欲しくなるユーザーが多い」(広報)ようだ。

日産自動車も今夏に新型「フェアレディZ」の販売を予定しており、動向が注目される。

スポーツカーは運転を楽しむことを目的に作られ、操作性に重点を置く。それを支えるのがエンジンで電動化を嘆くファンが多い。エンジン車タイプのスポーツカーは中古市場でも人気で価格が上昇している。(黄金崎元)

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