WHO、サル痘に緊急事態宣言見送り 感染状況次第で再検討も

スイスのジュネーブにあるWHO本部(共同)
スイスのジュネーブにあるWHO本部(共同)

【ロンドン=板東和正】世界保健機関(WHO)は25日、発熱や発疹が現れる感染症「サル痘」について、現時点では「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当しないと発表した。WHOが23日に招集した緊急委員会での協議を踏まえて判断した。ただ、サル痘の感染拡大を警戒し続ける姿勢を示し、今後の感染状況によっては緊急事態宣言を再検討する可能性があるとした。

WHOのテドロス事務局長は25日の声明で、5月初旬以来、50カ国以上で約3000人がサル痘に感染したとし、「(感染拡大を)深く憂慮している」と指摘。流行地域のアフリカに関わりのない感染者が欧米などで相次いで確認されていることに懸念を示した。ただ、緊急委での協議の結果、現時点で緊急事態宣言には至らないとの結論に達したとした。

一方、「われわれは感染状況を注意深く監視し、警戒を続ける」と指摘。感染の拡大状況によっては「今後数日から数週間のうちに(緊急委を)再招集する可能性がある」とした。

詳細な理由は不明だが、サル痘による今年の死者数が多くないことが緊急事態宣言が見送られた要因の一つだった可能性がある。

WHOなどによると、緊急委では、若年層の多くがサル痘に効果がある天然痘ワクチンの予防接種を受けておらず、免疫力が低いことから、感染が広がる危険性を看過すべきではないとの意見も出たという。

緊急事態宣言は法的強制力はないが、各国に空港などでの検疫強化や、医療機関での検査態勢整備といった対策を促す。WHOは今月23日、各国の専門家で構成される緊急委を開催し、サル痘について緊急事態宣言に相当するか検証した。

サル痘は5月以降、英国やフランスなど欧州のほか、北米、オーストラリア、イスラエル、韓国などに拡大。世界の広範囲で同時に多数確認される事態は初めてで、WHOは警戒を強めていた。

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