岸田首相、G7で対中議論を主導 「債務のわな」にも言及

記念撮影に臨む(左から)バイデン米大統領、英国のジョンソン首相、岸田首相、フォンデアライエン欧州委員長=26日、ドイツ南部エルマウ(共同)
記念撮影に臨む(左から)バイデン米大統領、英国のジョンソン首相、岸田首相、フォンデアライエン欧州委員長=26日、ドイツ南部エルマウ(共同)

【エルマウ(ドイツ南部)=田村龍彦】岸田文雄首相は26日にドイツ南部エルマウで開幕した先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、インド太平洋地域の脅威となっている中国に関する議論を主導する意向だ。欧米諸国の意識がロシアのウクライナ侵攻に向く中、東・南シナ海で力による現状変更を試みる中国への警戒を呼び掛け、改めてG7の結束を強化したい考えだ。

首相は会議で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海侵入など中国の海洋進出や、途上国のインフラ権益を奪う「債務のわな」など開発金融の問題を提起。中国が東シナ海で進めるガス田開発についても言及する方向だ。

政府高官は「中国はロシアのような国際法違反やルール破りをアジアで継続的に行っている。日本は国際社会が一致して対応すべきだと訴える必要がある」と強調する。

昨年6月に英国で開催されたG7サミットは中国が議題の中心となり、初めて首脳宣言に「台湾」を明記。経済的な結びつきから中国寄りの姿勢が目立っていた欧州の対中警戒感の高まりを象徴していた。

ただ、今年2月以降、各国ともウクライナ危機が外交・安全保障だけでなく、物価高やエネルギーなど内政にも大きな比重を占めるようになった。政府関係者は「首脳全員が中国を話題にしていた昨年のサミットと環境が変わっている」と危機感を見せる。伝統的に欧州はロシアや中東・アフリカ地域への意識も強い。

日本はこれまでもG7で中国の問題を粘り強く提起し、首相もかねて「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と訴えてきた。首相は3月にベルギーで開かれたG7サミットでも、ロシアとの停戦交渉に中国の役割を期待する欧州勢にクギを刺した。

実際、中国はロシアと歩調を合わせ、日本や欧米諸国を牽制(けんせい)する動きを見せる。中国やロシアの海軍艦隊が日本列島周辺で活動を活発化。23日には中国やロシア、インドなど新興5カ国(BRICS)のオンライン首脳会議を開いた。

G7サミットに続き、28日からは北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が予定されており、外務省幹部は「中国が意識しているのは間違いない」と語る。

国連安全保障理事会の機能不全が浮き彫りになる中、自由や民主主義など価値観を共有するG7は重要性を増している。首相には、サミットを通じ、各国のインド太平洋地域への関与を深化させる役割が求められている。

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