東北に橋頭堡なるか 改革の維新、政策先導型の国民民主

足を止めて各党の主張に耳を傾ける通行人ら=24日午後、仙台市青葉区(奥原慎平撮影)
足を止めて各党の主張に耳を傾ける通行人ら=24日午後、仙台市青葉区(奥原慎平撮影)

参院選(7月10日投開票)は日本維新の会と国民民主党が昨年10月の衆院選に続き、議席を増やすかについても注目される。維新は「身を切る改革」で政治家が〝覚悟〟を示すことで統治機構改革を後押しし、国民民主は時に政府と連携してでも提案した政策の実現にこだわる。両党とも、権力監視を重視するあまり「批判一辺倒」と〝批判〟される立憲民主党と一線を画すが、地方組織は脆弱(ぜいじゃく)。東北も自民党や立民が地域に支持の網を張り巡らせ、維・国が「橋頭堡(きょうとうほ)」を築くのは容易ではない。

維新スピリッツ

日本維新の会の政策を訴える馬場伸幸共同代表=23日午後、仙台市青葉区(奥原慎平撮影)
日本維新の会の政策を訴える馬場伸幸共同代表=23日午後、仙台市青葉区(奥原慎平撮影)

「大阪で行った議員定数の2割削減、議員の報酬3割カットで、大きな金が削減されたかといえば、そうではない。金額の大小じゃないんです。政治家が身を切ることで、役所も協力しなければいけないという思いになるんです!」

維新の馬場伸幸共同代表は23日、仙台市の繁華街でこう訴え、大阪府で行財政改革を進めた「起点」は政治家の覚悟だと強調した。演説後、記者団には〝維新スピリッツ〟を広め、各地の実情に応じた改革を進める必要性をこう語った。

「東北は日本の食を支えてくれている地域だ。食料自給率をどうすべきかスポットが当たる状況で、各地域が特色を生かして改革していくべき。どこでも大阪のような改革をやればいいというものでもない」

維新は平成24年に大阪を拠点に結党され、副代表を務める吉村洋文府知事の新型コロナウイルス対策が注目を集め、昨年の衆院選では公示前の11議席から41議席に躍進した。

維新の衆院議員が増えたことで、国会の雰囲気も変わったという。15日に閉会した通常国会は、これまで立民や共産党の反対でなかなか開けなかった憲法審査会の開催は過去最多に及んだ。馬場氏は「維新が大幅に議席を増やし、妨害できないムードが流れている」と手応えを口にする。

今年1月には東北初の地方組織として宮城県総支部を設立した。参院選でも宮城選挙区(改選数1)に新人を擁立。東北6選挙区で候補を出したのは初めてで、松井一郎代表も19日に仙台市を訪れ、新人当選のために声をからした。

維新の地方攻略は、まず参院選で、6の改選議席を倍増し、比例代表の獲得票では立民を上回って維新の名を東北など地方に浸透させる。次に来年の統一地方選で地方議員を増やし、足場を強化する。その上で、次期衆院選で立民から野党第1党の座を奪う-「ホップ・ステップ・ジャンプ」(馬場氏)戦略で進める。

ただ、党勢拡大の影で、参院選の候補者らに十分に目が行き届いているかは不透明だ。松井氏は19日、記者団に宮城選挙区に擁立した新人の政治家としての魅力について、こう述べるにとどめた。

「民間で仕事をしてきた。感覚が永田町に染まっていない所が一番大事だ」

その「魅力」を有している日本人は何千万人単位でいるはず。もう少し、個人の特徴を挙げても良かったのではないか‥。

対決より解決

経済政策などを訴える国民民主党の玉木雄一郎代表=24日午後、仙台市青葉区(奥原慎平撮影)
経済政策などを訴える国民民主党の玉木雄一郎代表=24日午後、仙台市青葉区(奥原慎平撮影)

「物価が上がっているが、より本質的な問題は賃金が上がらないことだ。景気を冷やすことなく、給料が上がる経済を取り戻す。そのための経済政策はアピールできたし、理解してもらったと思う」

国民民主の玉木雄一郎代表は24日、仙台市の繁華街で演説を終え、記者団に手応えを口にした。国民民主は宮城選挙区に候補を立てておらず、玉木氏は比例票の上積みのため、仙台を訪れた。

国民民主は「対決より解決」を掲げ、今年3月には自民、公明両党に提案する形で、ガソリン税の一部を減税する「トリガー条項」で協議体を組織した。

一方、令和4年予算案などに賛成した経緯から「政権にすり寄っている」などとも批判される。21日の日本記者クラブ主催の討論会で年配の記者から「党名を国民自由民主党に変えたらどうか」などと揶揄(やゆ)されたが、玉木氏は「与党にすり寄っているといわれるが、国民に寄り添って政策を実現したい」と切り返した。

国民民主も昨年の衆院選で公示前の3増の11議席を確保したが、地方組織は整備途上にある。

東北の国会議員は山形選挙区(改選数1)に出馬した現職のみ。旧国民民主党の地方議員らの多くは令和2年に立民に合流した。最近、東北6県で地方組織をたち上げたが、代表は静岡県を地盤とする榛葉賀津也幹事長らに任せざるを得なかった。

旧国民民主結党の平成30年5月から支持率浮上の兆しもなかなかみえない。

産経新聞社とフジニュースネットワーク(FNN)が今月18、19日に実施した合同世論調査で参院選比例代表の投票先では立民が5・3%、維新の4・9%に比べ、国民民主は1・9%にとどまった。国民民主は比例代表で500万票獲得を掲げているが、得票率は10%前後が目安となる。

一方、玉木氏は気にするそぶりを見せない。光明が若い世代の支持率の高さだという。玉木氏は登録者数7・5万人の自身のユーチューブチャンネルや、ツイッターなどで党の政策PRに努めており、記者団にこう力説してみせた。

「10~30代は比較的、支持率が高い。前回の衆院選も、選挙戦で初めて国民民主を知ったということで、最後の5日間支持が伸びる傾向にあった。魂を込めて訴え、ネットを含めた空中戦と街頭演説の地上戦を組み合わせ、政策と思いを全国に訴えたい」(奥原慎平)

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